祀り姫は宿儺の器に成り代わる弐【呪術廻戦】

80章、固陋蠢愚 ページ33

「私達の仕事は人助けですその中にはまだ、君たち学生も含まれます」

伊地知の頭には少年院でのことがよぎる。

私はもう間違えない…それに
君はまた何かをしようとしているでしょ？

最悪あなたは、吉野順平を…そんな最悪を
伊地知の頭は想像する。


｢行っては駄目です！虎杖さん｣

伊地知の言葉に彼女は何処か悲しげに笑いながら、彼の手を取る。

｢心配してくれてありがとうございますでも行かなきゃ行けないんです…｣

｢虎杖さん…ですよね吉野凪を助けたのは｣

｢伊地知さんも勘が鋭くて困ります｣

｢あなたは、さっきも言いましたが
大切な我々が守るべき子供の1人です｣

｢虎杖さん
君は今最悪…吉野順平を殺す気では無いですか？｣

伊地知はわかっていた。
彼女の呪術を少し見たことがあったから
何度も彼女の補助監督として
ついているからわかる。彼女は優しい子だ。
だから今も吉野順平を助けに行くのだろう。最悪を考えながら、目の前の少女はたくさんの物を背負っている。
彼女の今の顔はまた何かを背負うために行くようだ。
だから、止めた。
だが、彼女は伊地知にお辞儀をすると
足早に吉野順平のいる里桜高校に向かってしまう。

｢ごめんね伊地知さん……でも貴方が考える最悪にならない事を今は祈るしかないんだ。｣

そして、彼女は里桜高校体育館……
その重い扉を開けた。

目の前で苦しむ吉野順平の為に
彼女はこれから悪人になる。

さあ舞台のスタートだ。
命を天秤にかけ、今から吉野順平の魂へ
彼女はまた問わなければならない
命の重さを…その代償を…

そんな舞台の体育館の中では、
吉野が恨んでいるであろう1人の少年を
吉野自身が出したでクラゲの式神で
殺そうとしている最中だった。
たくさん倒れている生徒や怯える教師を見て彼女は
言った。

｢何してるのかな？吉野くん｣

｢引っ込んでろよ呪術師｣

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