祀り姫は宿儺の器に成り代わる弐【呪術廻戦】

64章、彼女の力と脱サラ呪術師の実力 ページ17

呪いに向かいながら彼は言った。

｢君はいくつか死線を越えてきた。でもそれで大人になったわけじゃない｣

｢枕元の抜け毛が増えていたり、お気に入りの惣菜パンがコンビニから姿を消したり｣

｢そういう小さな絶望の積み重ねが人を大人にするんです｣

七海の術式は強制的に弱点を作り出す術式であり、７対３対象の長さを線分した比率から
この比率にある点に技を当てるという術式だった。格上でもそれなりのダメージを与え
弱いなら今持つなまくらでも十分両断できるという。
彼女にそれを説明しながらしっかり的確に
呪いを対処するあたり実力はかなりあるとみえた。

｢聞いてますか？虎杖さん｣

｢聞いてますよ……というかそんなにバラしても大丈夫ですか？｣

彼女の問に七海が構える。

｢メリットはあります手の内を曝すという縛りが術式効果を底上げするのですこんな風に｣

ズバッと呪いは切り裂かれ倒れた。

｢私からは以上です｣

｢凄いですね｣

一方彼女が任された呪霊は､あまり彼女を好んで襲うような感じもなく。
彼女はため息を吐く。

彼女にはしっかり呪いの声が聞こえてるからだ。

(タスケテ……コンナコトシタクナイヨ……タスケテ……ゴメンナサイ)

彼女はその呪いに悲しげに静かにこう呟いた。

｢君……人なんだね｣

彼女の言葉に七海は彼女の方を振り返る

｢虎杖さん？｣

七海の問に彼女は悲しげに目の前の呪霊を指さした。

｢七海さん……今トドメを刺そうとしているその呪霊の写真とって見てください｣

彼女の言葉に
七海は近くに落ちている呪霊腕に腕時計がついてることに気づく。
そして、彼女はゆっくり近づくと呪いに向け呪術を少し使った。
手に呪力を込め彼女は風をきるようにふり下ろしただけだ。
だが、その瞬間呪いは一瞬にして裂ける。
その姿を見て七海は目を丸くした。
並大抵の術式では無い。
彼女の呪力は明らかに今抑えられていた。
抑えてこの力とは……

彼女の力は異常なのだ。
彼女が一体何を呪いにしたのかわからないほど
力は微量であり、七海は深く息を吐いた。
彼女は何かを隠しているとは聞いていたがこれは

なるほど五条さんが連れてきただけある。
彼女はただの器では無いのだろう……

｢とんだ方を任せてくれましたね五条さん……｣

私は少年と違う呪いは見えるしかなり強いし、
優しくない…
…だから迷わずこんなふうに殺せてしまう。
彼女はそう思うと悲しげに
亡骸となった呪霊に手を合わせた。

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