祀り姫は宿儺の器に成り代わる【呪術廻戦】

4章、胡散臭い笑顔の人 ページ6

禍々しい者が見えるのを心配して、
祖父がいかにも怪しげな僧侶ぽくない僧侶を呼んだ。……結構ぶんどりそう……胡散臭いなあと思いながら、彼女は、彼をじっと見つめる。
しばらくして、祖父が茶を入れに行き
なんだかんだ2人きりになってしまった。

｢悠里ちゃんは何が見えてるのかなあ？｣

唐突な質問だった。
だが、彼女は冷静に僧侶である男の背後を指さし言った。

｢お兄さん……嘘つきでしょ？｣

｢いきなり失礼な子だね？
でもどうしてそう思うのかな？｣

｢おじいちゃんからお金巻き上げる気だよね？｣

｢おやおや……私は君を助けに来ただけだよ｣

ヘラヘラと手を振り笑う男に
彼女は、ふと何かを考えると
男の周りをうろつく呪いを見て言った。

｢その子達はお兄さんのお友達?｣

｢すごいね……見えるのかい！｣

何処か嬉しげな男は
彼女の力に興味を持った。

｢いっぱい見えるんだけど
ねえ？お兄さんは……優しかった人なんだね｣

｢なんでそう思うのかな？でも私は嘘つきなのだろう？｣

｢あなたの周りに優しい人達が見えるの……｣

本来なら誰も信じない事だろうが、
彼女にはくっきり見えていた。
背後で悲しげに彼を見つめる人々の姿が

｢ほう……｣

｢お兄さん……たくさん殺しちゃったんだね……それお兄さんの目的の為？｣

彼女の言葉に男は、目を見開く。
なぜなら男は、この家に
来てから1度も自分の事など話していないからだ。
これは……

｢君は一体……｣

｢お兄さん……別にお兄さんの夢を止めるわけじゃないけど……お兄さん近々死んじゃうよ｣

｢おやおやこれは面白い……
警告してくれてるのかい？｣

｢信じなくてもいいよ……
でもね、お兄さんにとって悪い死に方じゃないの……でもね…なんでかなあ……
私お兄さんに死んで欲しくないの……
なんでだろうね……すごくかなしい｣

彼女は自分の中で悶々としたなにかを感じ必死に男に伝えようとする。
一方男は、初めて合う不思議な少女に不覚にも動揺してしまった。

｢お兄さん……優しい人なのに不器用な人なんだね……ねえ？人間は嫌い?｣

｢あぁ……能力を持たない人間が嫌いなんだ｣

｢たくさんのことがあったんだね…｣

気づけば少女は、男のすぐ傍まで来ていた。

｢そうだ！私がお兄さんのお友達になってあげる｣
唐突な彼女の提案に男は思わず笑ってしまった。

｢あははっ君は本当に面白いね……いいよ｣

｢だから、お兄さんしなないでね？｣

｢死なないさ……私は強いからね｣

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