祀り姫は宿儺の器に成り代わる【呪術廻戦】

43章、それを優しさと呼ぶんだよ ページ45

式をたくさん使っても、勝利のビジョンがまるで浮かびはしない。
それくらい宿儺は強かった。
身体を吹っ飛ばされ、ボロボロになりながら、
楽しむ呪いの王を見るしかない。
だが、呪いの王である宿儺は待ってはくれないだろう。

｢お前の式神影を媒体にしているのか…｣

バレたところで、

｢ならなんだ？｣

｢ふむ｣

宿儺はその瞬間、彼の術式に興味を持ち始めた。

呪符を使う在り来りな術式では無い。

｢なるほど…小娘が言ってた通り、少しは楽しめそうだなあ
だが、わからんな？｣

｢オマエ、あの時、何故逃げた？宝の持ち腐れだなあ…まあ、いいどの道その程度では心臓は治さんぞ？｣

楽しげに胸を指さす宿儺に
伏黒は、大切なある人を思い出す。

不平等な現実のみが平等に与えられている。

『誰かを呪う暇があったら大切な人の事を考えていたいの』

疑う余地の無い善人だった。誰よりも幸せになるべき人だった。

でも、呪われたんだ。

さらに、伏黒は自分を呪いの王との賭けに使った彼女に思う。

虎杖…お前は俺を優しいと言ってくれる。
が、俺はそんなに優しくない。

俺の性別も知らず恵なんてつけた親父は今も何処かでのうのうと生きている。

因果応報は全自動では無い。
悪人は法の元で初めて裁かれる。

呪術師はそんな報いの歯車の一つだ。
俺は優しくない。少しでも、
多くの善人が平等を享受できるように

俺は不平等に…人を助ける！！

凄まじい覇気に宿儺の胸は高なった。
それと同じく彼の胸のそこで彼女は笑った。

｢それを優しいというんだよ…伏黒くん｣

‪☆ちょっぴり作者から→←42章、伏黒恵と呪いの王

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