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昼下がり。
外はまだ寒い。
走って疲れて少し立ち止まって、
それでも貴方の顔が頭に浮かんで、
また走った。
「…はぁ、っ、ついた…」
高台と言うだけあってここに来るまでほぼ坂道。
体力はもう限界だった。
ふらつく足で展望台へ向かった。
そこには、
.
.
「誰もいないか」
美しい景色。
まだ灯りのついていないイルミネーション。
それだけだった。
向井先輩の姿などなかった。
「…先輩」
何故だろう。
あんなに当たり前に会っていたのに、
もう二度と会えないみたいだ。
悲しくなってくる。
自分が虚しく思えてくる。
なんの為にここまで来たのか。
答えなんてなかった。
なんでこんなに喪失感を覚えるのか。
理由が、ようやくわかったような気がした。
どんなに仲のいい男友達とも、
ラウールとも違う。
かけがえのない、大切な存在。
俺は何を考えてるんだろう。
頭おかしいのかな。
向井先輩の事が好きみたいだ。
「会いたい…」
今俺は、
貴方に会いたいです。
どこにいるんですか。
先輩…
.
.
「…っ目黒？」
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作者名：涼夏〈ﾘｮｳｶ〉 | 作成日時：2020年8月16日 21時
