果報はわずか、災いは重なる ページ9
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「……まぁ、こんな感じかな」
「ありがとうA。色々教えてくれて」
「二ー二ーが『お願いだよAー！この町の事をたっくさん教えて欲しいんだ一生のお願いー！』って頼んでくるからには断れねーからなー」
「そんな風に言ってないよね！？でも、少しでもこの町の事を知りたかったから、つい……」
オレは休みの日を使い、二ー二ーをからかいつつも、万聖街の周辺の案内をしていた。
「けど、よくこっそり実家出ようと思ったな」
「実家だと、親の敷かれたレールで生きていかなきゃならなくなるから……」
オレがそう言うと、二ー二ーの表情が少しだけ暗くなる。ひょっとして深刻な問題に足を踏み入れそうになっているのか、オレ。
「パンダよりコアラの方が良いって言われてたからね」
「あっ、好みの問題か」
※
その後も他愛ない会話を繰り広げ、万聖街『1031』に帰ってきた。リビングには、リン先生の姿があった。
「帰ったか」
「ただいま、リン先生！」
「おお？……リン先生、もしかして客来てる？」
嗅ぎなれない匂いがリビングに漂っていた為、思わずリン先生に聞いてしまう。
「新しいルームメイトだ。アイラが連れてきた」
「へぇー。一体どんな人なんだろう？」
「狼人間だそうだ」
「狼人間？天敵じゃね？」
「へ？そうなの？」
キョトンとした表情を浮かべる二ー二ーに、オレは特に何も言わなかった。天敵と言ったが、オレも大して気にしてしなかったからだ。
「名前は何て言うんですか？」
「名前は長いから、ダーマオだと言っていた」
「ちょっくら顔見てくるか」
オレと二ー二ーは階段を上がり、二階に着いた。
辺りを見渡すと____見覚えのない、銀髪でガタイの良い男性の後ろ姿が見えた。何故かタンクトップとパンツという謎のファッションをしているが……。
「こんばんは。キミがダーマオだね？僕は隣に住んでるニール・ボーマン。二ー二ーって呼んでね」
「おっす。オレはA」
二ー二ーとオレが順番に挨拶をすると_____ダーマオは一瞬、キョトンとしてから二ー二ーの顔を見て、驚きの表情を見せた。
「おっ、おま……っ！」
「は？」
数秒後、ダーマオがその場に倒れた。
「ねぇ大丈夫！？アイラ！リン先生！ダーマオが倒れた！！」
「コイツおもしろ」
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作者名：阿野 | 作成日時：2022年11月26日 19時
