【HQ!!】俺の味覚は狂っとる３【男主】 (ページ25)

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１００話ページ25

ロッカーに軽く凭れながら腕を組み、考え込んでいた主将がぐるりと部員達を見渡して赤木を見据えると重々しく口を開いた。

『Ａすら上げれへんお前がリベロとして部に居る意味はあるんか』

『リベロやったらボール繋げや』

『リベロのプライドがあるんならＡパスくらい上げてみせぇや』

『お前はお遊びかも知れんけど、俺等は真剣にバレーやっとんねん』

『さっさと辞めたらええのに』

毒を含んだ言葉の数々に、全員が沈黙した。

「全部俺の妄想で、ホンマに言うたかどうかは分からへん。けど……俺やったら言うかもな」

「……おん、俺も言うわ」

「俺等は当事者やない、どっちを庇う事も責める事も出来ん。けど、アイツの事やから向けられた悪意を捨てる事も出来ずに全部拾い上げてきたんやろなぁ」

「…………俺は、無力やな……拾った毒を溜め込んできたアイツに、何もしてやれん」

目元を片手で覆い声を震わせた主将の言葉を、部員達は同意する事も否定する事も出来ずにいた。

「そんな事ないですよ」

バレー部の誰よりも神無月の傍に居た、赤木以外には。

「アイツは向けられた悪意も捨てれへん不器用な奴やけど、好意も捨てへん奴です。向けた側がなんとも思わへんような、どんな小さい好意も大切そうに拾い上げる奴や。アイツを想って、自分を無力や言うて泣いてくれる想いを神無月が捨てる事だけは絶対ないです」

「……ズルいわ。お前に言われたら否定出来んやん…」

「すんません」

「赤木……おおきに…」

「……はい」

体育館に戻ると施錠はいいから自主練をするなら適当な時間で切り上げるようにと言って残してきた１年生達がまだ練習をしていた。

主将はぐるりと体育館を見渡し、双子の片割れとパス練をしている少年に歩み寄る。

「神無月」

「あっ、ハイ」

「……頼りない主将ですまん。けど、なんかあったら遠慮せんと言うてや、な？」

「…………」

暫くジッと主将の顔を見ていたが手にしていたボールを侑に投げ渡し、改めて向き直ると一言だけ告げた。

「頼りになるんか、ならんのかはともかく……俺は“稲荷崎(うち)の主将”、好きですよ」

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「“好き”の対義語は“無関心”やん？好意やろうと悪意やろうと俺がもろたモンや、拾おうと捨てようと俺の勝手やろ」