第82話 いつもと違う兵助くん ページ38
立「なんだ兵助、今取り込み中なんだが」
久「………」
兵助はたちばな先輩を睨み、歯ぎしりをした
どうしてそんな怖い顔するんだ
きれいな顔がダイナシだろ
立「兵助、早くどっかいけ。修羅場っていうことくらい見て分かるだろう
さあA、続きを始めようか」
そう言って立花先輩は私の方に顔を向け、ニコッと微笑んだ
さっきまでの軽蔑の目とは真反対だ
立「A……」
立花先輩はさっきの言葉を紡がずに、顔を近づけてきた
久「……駄目です」
兵助は私の肩を掴み、立花先輩から引き離した
すると私の指に指をからも初め、それを後ろに隠した
そしてこっそり
久(逃げるぞ)
その小さな言の葉が咲いた瞬間
私は後ろの方へ引っ張られた
立「あ、おい！！」
仙子さんはその格好では出してはならない図太い声を出した
隣では兵助が顔を赤くし、瞳を輝かしてる
私の指をより一層強く握った感じがした
・
・
一通り離れた場所
兵助は未だ手を握ったまま
「あの、兵助。そろそろ手を放してくれないか」
久「……………やだ」
ええー？どうした兵助。いつもと全然違うぞ？
立花先輩になにか因縁があるのか？
手汗を掻き始めた
多分私のだろう。早く放してくれ
「兵助。お願いだから」
久「…………………」
兵助は駄々こねたガキのように私の言葉にそっぽ向いた
こんなときの対処法ってなんだ
兵助side
俺は何してんだ
手汗まで書いて、Aに気味悪がられてるのに
俺の手なんてずっと握っていたくないだろうに
何故だかこの手からAの手が離れるのが嫌だ
離してやりたいけど、俺の本性が拒絶する
「兵助？何があった？私で良ければ話聞くよ」
言えるわけないよ
立花先輩がAに必要以上に近づいたことに
嫉妬しただなんて
俺は独占欲の塊だ
すぐにやきもちを焼いて、今すぐにでもAを手に入れようとする
そんな俺は嫌だ
彼女の好きな人のことも考えなきゃならないのに
どうしても俺の中の俺が言うことを聞かない
夏に近づいていく今
手汗がだんだんと彼女の手に滲み出す
早くも蝉の声が遠くから聞こえてくる
空を覆いかぶさるように大きい入道雲
いつもと違うAの服装
俺はこんなにもドキドキしてる
彼女はどうも思っていないだろう
「早く離せえねえと、護身術使うぞ」
ほら
彼女嫌がってるじゃないか
早く離せよ兵助
「ねえ早く離して」
A
好きだよ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竹林寺(プロフ) - アオハルかよ！さん» この小説の皮肉の部分がそれですよね笑 私も書いてて悲しくなりますが、どうか顔で夢主ちゃんを好きになる人達を嫌いにならないでくださいね！ (2020年1月5日 17時) (
レス) id: e33c68ca3b (このIDを非表示/違反報告)
アオハルかよ！ - やっぱ顔なんだな〜って思い知らされました(´TωT｀) (2019年12月29日 23時) (レス) id: eff87a002c (このIDを非表示/違反報告)
笹蔵(プロフ) - 竹林寺さん» はーい(^^) (2019年12月27日 18時) (レス) id: b0a186559f (このIDを非表示/違反報告)
竹林寺(プロフ) - 笹蔵さん» 笹蔵さーん！コメント有難う！恋川くんと八尾くんのイラストお願いしまーす！あと夢主ちゃんも！ (2019年12月26日 23時) (レス) id: e33c68ca3b (このIDを非表示/違反報告)
笹蔵(プロフ) - どうも！笹蔵です！竹林寺さんとは昔からずっと友達で、絵師をやってほしいと頼まれまして…どうぞ宜しくお願いします！ (2019年12月24日 17時) (レス) id: b0a186559f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竹林寺 | 作成日時：2019年8月27日 11時
