そんな都合のいい話は嫌いだけれど2

第81話　くそ ページ37

立「……え」

くっそ、勝手に前髪あげんなよ
即座に反応できなかった私もいけないけど、普通 人の前髪上げるか？

「あの、手、離してください」

立花先輩は真っ白な肌を真っ赤に染めていた
私の前髪を持ってる手が微かに震えている

立「………」

「あの…」

立「め、目を合わせるな、ちょ、直視できんっ」

立花先輩は手で顔を隠しながらそっぽ向いた
どうしたんだよコイツ、熱でもあんのかよ

仙蔵side

俺は常に完璧にしてきた。相手に教えてやるときもそうだ
だからコイツの長ったらしい前髪を上げてやったんだ

まあ、半分俺的指導と半分興味本意だ
それだけ顔を隠したがるなら、どんなに醜い顔をしているのだろうと
彼女を心のなかで罵っていた

数分前の俺に叱ってやりたい

何だこいつの顔、人間かってくらい顔が整ってて
見ただけでも息が詰まりそうなくらいドキドキする

今まで女どもになびなかったこの俺が
恋をするなんてな

あいつに散々言ってきた言葉をなくしてやりたい
都合がいいにもほどがあるな

「聞こえてるんですか。離してください」

彼女は大きい目を尖らせ睨んできた
そんな顔も美しかった

立「す、済まない」

今の俺にゆとりなんて無い
こんなにもAのこと思うだなんて

「勝手に人の前髪上げますか普通。」

ドキドキしすぎてまともに喋ることができない
血液の循環速度が上がる
何回も俺の血管に、心臓の鼓動が伝わる

くそ、俺はこんなにもあっさりと人を好きになるなんて
まだまだ駄目だな

主人公side

立花先輩は私の前髪を離してからずっと黙りこくっている
おいおいなんか喋ってくれよ

「先輩、熱があるなら伊作先輩呼びますが。」

すると立花先輩は真っ赤な顔を即座に上げた

立「呼ぶな！絶対に！こんな顔、あいつらに見られたら…」

立花先輩は口元を隠し、人もをうるませた
恋する乙女みたいになってる

立「……その、小汚いとか、女子力が低いとか、…すまなかった」

え？何で急に？
まあホントのこと言ってたから否定できなかったけど
なんで今謝るんだよ

すると立花先輩は私の頬に手をやって、上を向かせた
瞳をうるませ、顔を真赤にした立花先輩の顔が真ん前に

「っちょ、何するんですか？離してください。」

先輩の手を引き離そうとしても全然離れない
すると、立花先輩はゆっくり口を開いた

立「済まないA、こんなこと都合がいいが、俺は

お前のことが

立花先輩が次の言葉につなごうとした刹那

？「何してるんですか？」

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