第77話 諦め ページ33
兵助side
俺、諦めたほうがいいのかな
息を潜める。自分の視界の端で二人が見つめ合ってる
涼しい風が頬を撫でる。肩を上げて、下ろした
ひんやりとした壁が俺の体を染めた
満天の星空の下、春風がなびいて奇跡が起きている
俺の穿いているスリッパの間でさえスルリと抜けた
「らしくないな。いつもならキスするぞと脅すくせに、解せない。何が目的だ」
Aは張り詰めた声を出して一層冷気を強くした
勘右衛門はいつもそんなことしてるのか
尾「ひどいな〜、女の子が傍らで寒そうなのに羽織り貸さないなんてド外道だから」
勘右衛門はすました顔をしてAの頭を撫でた
俺の拳に爪が食い込む
「そりゃどうも」
Aは勘右衛門の手を振りはらって空を見上げた
Aにとってはあーいうことはどうも思わないのか
そんなんじゃいつまでたってもこの想いは届かないままじゃないか
胸をギュッと掴んだ
ねえ
尾「相変わらずAは冷たいなあ」
何で勘右衛門は
「冷たくて結構」
そんなに積極的にできるんだ
尾「まあそんなとこも好きだけど」
何でそんなことサラッと言えるんだ
「どうとでも思ってろ。どうせ冗談だからな」
俺にもその勇気を分けてくれないか
尾「えートキメイてくれると思ったのにー」
そしたらこの気持を
「誰がときめくか」
Aに伝えることができるだろうか
ねえほしいよ
尾「ほら、羽織落ちそうだよ。」
俺もその肩を触りたい
「全く…ありがとう」
俺にもその笑顔を向けてほしい
二人はおとぎ話に出てきそうなお姫様と王子様で、夜空の星が二人を歓迎してるように
歌ってるようだ
俺の脇を白い鳩が何羽もすり抜ける
鐘がなった。視界が白にひらける。後ろ風に押され、前方に顔を上げた
ベールをかぶったAに、白のタキシードを着た勘右衛門
やだ
「私、幸せ」
尾「んー？俺も！」
やだ
「それでは誓いのキスを」
俺は怖くなって後ろの闇に飛び込んだ
スリッパでつま先をつっかえながらも、覚束ない足取りで霞の部屋に入った
息が上がってる
ぴーぴーと口はわけもわからない音を出した
視界がちらついて手には汗がびっしょりと染み付いてる
俺、諦めたほうがいいのかな
あんな笑顔を見たらそう思うのも無理ない
二人はずっとずっとお似合いだ
俺にはAをあんな顔にすることができるはずない
もう目に見えてたんだもの
あの二人が幸せな家庭をつくってるところを
俺には作れない未来を
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竹林寺(プロフ) - アオハルかよ！さん» この小説の皮肉の部分がそれですよね笑 私も書いてて悲しくなりますが、どうか顔で夢主ちゃんを好きになる人達を嫌いにならないでくださいね！ (2020年1月5日 17時) (
レス) id: e33c68ca3b (このIDを非表示/違反報告)
アオハルかよ！ - やっぱ顔なんだな〜って思い知らされました(´TωT｀) (2019年12月29日 23時) (レス) id: eff87a002c (このIDを非表示/違反報告)
笹蔵(プロフ) - 竹林寺さん» はーい(^^) (2019年12月27日 18時) (レス) id: b0a186559f (このIDを非表示/違反報告)
竹林寺(プロフ) - 笹蔵さん» 笹蔵さーん！コメント有難う！恋川くんと八尾くんのイラストお願いしまーす！あと夢主ちゃんも！ (2019年12月26日 23時) (レス) id: e33c68ca3b (このIDを非表示/違反報告)
笹蔵(プロフ) - どうも！笹蔵です！竹林寺さんとは昔からずっと友達で、絵師をやってほしいと頼まれまして…どうぞ宜しくお願いします！ (2019年12月24日 17時) (レス) id: b0a186559f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹林寺 | 作成日時：2019年8月27日 11時
