７話 ページ8
？「君…大丈夫？」
不意に声をかけられた。
顔を上げれば、そこには見覚えのある顔があった。
確か、近所で飼われていた人。
名前、何だっけ。
真澄「……だれ」
咲也「あ、オレは咲也って言うんだけど…」
あぁ、そうだった。
俺と違って、幸せそうに笑ってた人。
どうせ捨てられた俺を笑いに＿＿＿
咲也「もしよかったらだけど、オレの家に来ない？」
真澄「(え……？)」
なんでこの人は俺を助けようとしてるんだろう。
俺なんか、拾っても何の役にも立たないのに。
でも、こんな俺でも拾ってくれる人がいるんだ…。
そう思ったら、涙が溢れてきた。
あぁ、こんなに泣いたのはいつぶりだろう。
また泣ける日が来るとは思っていなかった。
ほとんど判断力を無くしかけていた俺は、迷うことなくその人について行くことにした。
咲也「あ、そうだ。君、名前なんて言うの？」
その一言で、少し後悔した。
この人は俺のことを気にも留めていなかったんだと。
真澄「……ますみ」
咲也「えっ…？！ますみって、あの真澄くん？！」
真澄「…覚えてなかったんだ」
咲也「ご、ごめんね…1回会ったきりだったから……」
真澄「……そう」
この人は、こんな人だったんだ。
こんなボロボロな姿の俺にも笑って話しかけてくれる。
咲也「あっ、真澄くん、耳と尻尾、隠せる？」
真澄「……できない」
咲也「そっか…じゃあ、これ着てて。尻尾は無理だけど、耳だけなら隠せるから」
真澄「…分かった」
そう言って、パーカーを渡された。
今までずっとこの人が着ていたせいか、渡されたパーカーが暖かく感じた。
真澄「……あったかい」
咲也「(…真澄くんって、意外と可愛いところあるんだなぁ)」
真澄「…何。」
咲也「えっ？！ううん！何でもない！」
＊＊＊＊
紬「ただいま…！」
万里「おー、紬さんおかえり」
紬「咲也くんは…？」
万里「さっき連れてきたやつと一緒にリビングで喋ってる」
紬「そっか……」
天馬「あらかたの説明はしてたみたいだけど…あいつもここに住むのか？」
紬「まぁそういうことになるだろうね。捨てられたまま放置されてたみたいだし」
万里「一体何なんだ？捨てられすぎだろ。二日連続とか……」
咲也「それで……あ、紬さん！おかえりなさい！」
真澄「…今度は誰」
咲也「この人もここに住んでる人で、紬さんって言うんだよ！」
紬「よろしくね」
真澄「……どうも」
？「お邪魔しまーす…ってあれ？また増えてる」
続く (更新停止中)
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作者名：珠洲紅雪 | 作成日時：2017年8月9日 22時
