香りのない百合～短編～上編 (ページ11)

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第十一話：残された痕跡ページ11

何か証明できるものはないかと考え、

あることを思い出した

指を見るとあの鮮やかなオレンジ色の花粉が付いていた。

それをヒョンに見せると表情が少し強張った、

他には...

同じく左手にはインクが付いていた。

そう、あのメモ帳に書いた時のインクだった。

ヒョンも少しずつ疑い始めている、だがまだ半信半疑だ・・

「そうだ、ヒョン僕の携帯は？」と尋ねると「もちろんあるよ！テヒョナが目覚めたらいつでも使えるように充電してあるよ」と言い、僕に携帯を手渡した。

それを僕はいつものように右手で取り右手の親指でロックを解除しメッセージを開く。

そこにはなんと、ジミンとの、あの一連の会話が残されていた。

僕が声に悩まされている事、

家が呪われているかもと言う会話があった、

急いでジミンに電話を掛けると驚いていた

「テヒョナ‼目が覚めたの！？」嬉しそうだった。

僕はジミンに単刀直入に聞くと帰ってきた返事に驚いた

「何これ？俺書いてないよ！・・・なんだよちゃんと会話が成立してんじゃん！テヒョナだって、昏睡状態だったのに！」

そう言われても僕は昨日もちゃんと生活していた記憶があるわけだし...。

僕らは同時に同じこと叫んだ。

「誰と喋っていたんだ！？」と。

「まぁ...ありがとう…」と言い電話を切る、

ヒョンの顔が少し青ざめている。

最後にもう一つ思い出したのは

いちばん見たくなかった悪夢のような出来事の事

「ヒョン、最後の証拠はこれ！」

パジャマの裾をめくり目の前に現れたのは

生々しい傷だった、

爪が刺さったような穴が開いて

強く握られた跡があっただがその跡の大きさは普通の人間の手の大きさではなかった。