緑の風船 (ページ37)

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ご飯を食べ終えお腹もいっぱいになり、おばさんのお手伝いでお皿を洗っていると、ホソクがドタバタ慌ただしく階段を駆け下りてきた。

『なあA！見てみ、これ！』

分厚いアルバムのような物を開くと、そこには4才の仏頂面の私と、そんな私とは対照的にニコニコと笑って例の緑の風船を持っているホソクの写真があった。

「うわ…懐かし。」

『ほんと懐かしーなー！てか俺さ、この風船まだ持ってんだって！がちで。』

「絶対嘘でしょw」

『いやがちだって！見せてやるよ！』

そう言って私の泡だらけの手を掴もうとする。

「バカ、私手泡だらけだから！」

『あ、ほんとだ。』

…もう、ほんとにバカなんだから。

だけど、『俺ボケてんな～w』なんて言いながら笑う彼を、不覚にも可愛いと思ってしまう。

泡を流してホソクの部屋に向かう。

前に来た時は、まさか私がホソクを好きになるなんて思ってもみなかった。

地球が逆回りになるくらい、ありえないことだと思っていた。

ドアを開けるといつものホソクの香りが私を包んで、

それだけでなぜだか恥ずかしくて顔に血がのぼる。

『好き』になるだけで、見慣れたはずの景色がこんなに変わるんだね。

『A？』

「…ん⁉︎」

『…何ぼけっとしてんだよw』

机の奥をガサガサやり始めたかと思ったら、取り出したのはほんとうに、

あの時の、緑の風船。

しわくちゃになってゴムも緩くなって、だけど確かに、私がホソクにあげた緑の風船。

「…ほんとに持ってたんだ。」

『当たり前な！w』

「…捨てたと…思ってた。」

『俺とAの出会いの思い出だからな！w置いとかないと！』

…なにそれ、

私が『特別』みたいな言い方。

やめてよホソク。

嬉しくなるじゃん。

『俺らってほんとずっと一緒だよな～。幼稚園も小学校も中学校もずっと一緒だもんな。』

ベッドに腰掛けて、私に隣へ座るよう促すホソク。

少し間を空けて座った。