緑の風船 (ページ27)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:145,655 hit

○ 27 ○ ページ27

驚いて振り返ると、少しうつむいて、恥ずかしそうに教室に入ってくるグク。

クラスメイトが少しざわつく。

『ヌナぁ？家庭科の教科書持ってる？あれって学年関係なく同じ教科書だよね？』

申し訳なさそうにしゅんと萎んでいるグクが可愛くて堪らない。

「持ってるよ！ちょっと待って！」

カバンの中をゴソゴソやってお目当ての教科書を出すと、グクの表情がぱぁっと晴れる。

『助かったー！！！ありがとうAヌナ～！
また返しにくるね、次の休み時間！』

私の家庭科の教科書を大切そうに抱えて、ニコニコしながら教室を出て行く。

グクはほんとに可愛い。

私よりも背は遥かに高いし、筋肉もしっかりあって男の子だけど、やること言うこと、全部が可愛い。

『…ちょっとA…いつのまにジョングク君と友達になってんの…何ヌナとか呼ばれてんの…』

焼きそばパンをほっぽり出し、ポカンと口を開けるガヨン。

「あ、ホソクとグクが友達で、それでなんかなんとなく知り合った？」

『…ほんっと、神様って不平等だよね…なんであんただけそんな恵まれてるかな。』

…私って、恵まれてんの？

『友達以上恋人未満的な存在の幼なじみと可愛い後輩とか…』

…恋、恋人⁉︎

「恋人未満とかじゃないしwホソクは友達以上家族未満的な…」

お弁当箱の中のプチトマトにお箸を刺すと、中身が勢い良く出て白いブラウスに飛んでシミを作った。

「うわ…最悪、」

慌てて拭うとシミは広がるばかりで、諦めて中身が出たトマトを口に入れた。