軽音部のイケメンが知り合いだなんて！ (ページ23)

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デジャブ。ページ23

神山「どうかしたん？」

彼女は神山くんのクラスメイトだったようで、
神山くんが声をかけに行く。

さらっと紳士的なことをできるってほんと、すごいよなぁ
なんて思いながら

私は靴を履き替えて、遠目で眺めることにした。

「あ、神山くん…あの、傘がなくなっちゃって…」

どうやらこの前の私とまったく同じ状況のようで。(傘。参照)

ていうか、この学校傘無くなりすぎじゃないですか？
犯人出てきなさい！

私がそんなくだらないことを考えているとき、
神山くんが口を開く。

神山「なら俺の傘使ってええよ」

「いや、でも…」

神山「大丈夫、折りたたみあるから」

そう言って、持っていた黒い傘を彼女に差し出す。

一瞬、また一つの傘に入って送っていくのかと思ったけど
今回は違ったようで・・・

なぜだか分からないけど、顔が熱くなったように感じた。

・

彼女が神山くんの傘を持って、雨の中へ進んでいくのを見届けた後
神山くんが振り返る。

A「折りたたみ傘持ってるなんて、さすがだね」

少し眉尻を下げた神山くんがお茶目に笑う。

神山「あ、あれ嘘。傘なんて一本しか持ってこないで、普通」

A「え」

今度はいたずらっぽく笑って見せる。

神山「Aの傘入れてくれへん？

　2人用の大きいのなんやろ？」

しまった。
してやられてしまった・・・。

この前の借りがある私が断わるわけにはいかない訳で。

A「どうぞ…」

傘を開いて、上にかざす。

神山「おおきに！」

またキラキラの笑顔を向けられて、目をそらしかけた時

傘を持っていた私の手に神山くんの手が触れる。

神山「傘、俺が持つわ」

A「いや、でも」

触れた手から神山くんの温もりを感じる。

神山「ほら、俺の方が背高いから」

すましながらも、少しどや顔。

そんな彼に根負けして、傘から手を離して
「じゃあ、お言葉に甘えて」
と言ってみる。

恥ずかしさも相まって小声だったけど、
神山くんにはばっちり聞こえてたようで。

神山「おん」

そう言って、並んで歩き始める。

背中の方で最終下校のチャイムが聞こえて、前にもあったなぁ、と思いながら
水たまりを踏まないようにと、足元に目線を落とした。