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佑京くんとは家が隣で、いわゆる幼馴染という関係だった。
" だった"というのは、私が中3の夏に福岡に転校してから、なんとなく疎遠になったからだ。
物心ついた時からずっと好きで、忘れられたか聞かれると、今も即答は出来ない。
それもこれも、全部あの日のせいで。
私が引っ越す日、泣いていた私に佑京くんは言った。
「俺、大人になってAちゃんがどこに居ても絶対見つけ出すから、それまで待ってて。」
「そしたらさ、ずっと隣に居てよ」
中学3年生の時に言ったことだし、未だに信じてるのがおかしいことなんて分かってる。
だけど、彼氏が出来ても佑京くんが浮かんできて、続かない。
ずるずると拗らせている。
そろそろ本当に忘れないと、と焦っていた頃にまさかこんな形で再開するなんて。
…佑京くんはまだ覚えてるのかな。
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[〜…!A!]
『っえ?な、何?』
[何って、Aが呼んでも反応しないから。大丈夫?具合悪かったら遠慮なく言ってね?]
『いや、ちょっと考え事してただけ!』
[…そう?話せることだったらいつでも話してね]
『ううん、大丈夫!ごめんごめん』
ダメダメ。
佑京くんが覚えてるわけないし、覚えてたとしてもどうにかなるわけないし。
それに、そもそも佑京くんに恋人や結婚相手がいるかもしれない。
無駄な期待をするのはやめよう。
今日で綺麗さっぱり、忘れよう。
そう思っていたのに。
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作者名:ちゅお子 | 作成日時:2023年7月3日 2時