Won’t Be Long ♥ sh9 ページ17
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最後に彼を見た時は長髪だったけれど、目の前に現れた彼の髪は短くなっていた。
「よっす〜、お疲れ」
『お疲れ〜髪切ったんだ?』
「まぁ、随分前やけどな」
会わないうちにバッサリ切っていたみたいで、なんだか少し驚いた。
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「おじゃましまーす…おー綺麗にしてるやん」
『まぁそりゃあね〜』
コンビニでお酒やおつまみを買い込んで、着いたのは私の家。
着いたのは20時を回る頃で、明日が休みで良かったと心底思う。
同期の柳田とは、笑うツボだったり食の趣味だったり、とにかくフィーリングがよく合って、入社してすぐに意気投合した。
それから毎週金曜は私の家で飲むことが定番化していたけれど、柳田が他部署へ異動してからは中々時間が合わず自然消滅してしまって。
1年前に引っ越したこの家には初めて呼ぶから、1年以上は飲んでいなかったのか。
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久々で気持ちが浮ついていた所為か、いつもより酔いが早く回ったみたいで。
『…ていうか柳田さ、彼女いないの?』
今まで一度も恋愛の話をしてこなかったのに、気がつけばそんな質問をしていた。
「おらんよおらん、おったら今の状況ヤバいやつやん」
ビンタされるやつや、といつもより上機嫌にコロコロと笑っている。
『…よかったぁ』
顔が熱くて、机に頬を乗せて冷やしながらそう言うと、柳田の左眉がピクリと動いたのが見えた。
「何がよかったん?」
『…彼女、いなくて。
いるって言われたら、、ないちゃう』
「……酔っとるやろ」
『よってない よってない』
落ちてくる瞼を必死に上げて、にへらと笑って見せると、柳田は頭を抱えて深くため息をついた。
「はぁぁ……ほんまにこいつ…こっちの気も知らんで」
『んー?なんて?』
「ちゅーしてまうぞって言うた」
『えへ〜?じょーだんやめてよ〜笑』
「…冗談やないって言うたらどうする?」
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作者名:ちゅお子 | 作成日時:2023年7月3日 2時