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『えと、あの……お、送ってくれてありがとう』



「ううん全然」





言わなきゃ、言わないと


…


「今日は寒いから暖かくして寝るんだよ?」



『うん、』





で、でもなんて言い出せば





「じゃ、おやすみ」



『……ぁ、ま、待って、!』






くるっと踵を返して来た道を戻って帰ろうとする
昇太くんの腕を掴んで止める。





やっばい咄嗟に掴んじゃった、どうしよう。



思い出せ思い出せ……


えっと確か、きゅるるんって感じで…









『う、家、寄ってかない?』















「………今日はやめとくよ、明日早いし」




『あぁ、そっか…』






こ、断られた〜!
今すぐ逃げ出したい泣き出したい穴があったら入りたい……









でもせっかく勇気出したんだし、
ここじゃ終われない。




こうなったらもう、とびっきりあざとく。









きょとんとしている彼のスーツの襟をグッと引き寄せ、きゅっと閉じた唇に自分の唇を重ねた。







「は、」



『おやすみ、!』







やっぱり恥ずかしくて、返事も聞かずにダッシュでマンション内に逃げ込んでしまった。






『はぁぁぁ…』





エントランスで思わずしゃがみ込む。



顔に手を当てると温かくて、熱が集中しているのが分かる。






頑張ったのに…

逃げたら意味ないじゃん……




もしかして私、自爆しただけ?









.










ふと、自分の横で誰かがしゃがむ気配がして
ぱっと顔を上げる。







「あんなことされて帰れるわけないじゃん。

家、入れてくれるんでしょ?」






いつも通りに見えるその顔の下に、ギラギラ光る何かが見えた気がした。



.

Cheshire ♥ LAD18→←テンプテーション ♥ CHC18



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作者名:ちゅお子 | 作成日時:2023年7月3日 2時

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