テンプテーション ♥ CHC18 ページ13
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「…？Aちゃん？」
『っは、はい！』
「大丈夫？さっきからぼーっとしてるけど」
『へ？全然大丈夫！』
ごめんごめんと誤魔化しながら、
先日友人とした会話を思い出していた。
．
『なんて言うか、そういう雰囲気にならないって言うか…』
久々の友人との飲み会。
お酒も入り話はどんどん進んで、
昇太くんがなかなか手を出してくれないという話まで行き着いていた。
「こんっなに可愛いのに！？
Aの彼氏理性強すぎない？」
『へへ、ありがと〜』
まぁこんなふうに、
口の上手い友人に乗せられてしまったというか。
「ならさ、自分から仕掛けちゃえばいいじゃん」
『えぇ！無理無理！どうしたらいいか分かんないし…』
「次のデートの予定は？」
スマホのカレンダーを確認して、
ハートマークを探す。
『んーと…今週末、仕事終わりにご飯行く』
「え、丁度いいじゃん！家連れ込んじゃえば？」
『つ、連れ込むって…』
「彼女から上目遣いで寄ってかない？って誘われて断る男はいないよ」
『え〜〜……師匠、だめだった場合どうすれば…？』
「だめだったら〜？
ちゅーとかしちゃえば？」
『えぇ、ちょっと適当言ってるでしょ』
「いやいや〜理性壊さないとだからね？
それぐらいしないと」
いつの間にやらそんな話になっていて、
実行する羽目にまでなっていた。
．
理性を、壊す…。
隣を歩く昇太くんをちらっと見上げると
バチッと目が合って。
「ん？どうした？」
『ううん、なんにもない、！』
私がそわそわしてることにもすぐ気が付くし、よく気にかけてくれてるのは分かるけど…
やっぱり、私の魅力が足りてないだけなのかな。
ぐるぐる考えながら歩いていると、もう私の家のマンションが見えてきた。
どうしよう自信なくなってきた、
やっぱりやめておこうかなぁ。
でも約束しちゃったし…。
歩みは止まるわけもなく、実行する勇気も諦める勇気も出ないまま、とうとう家の前まで来てしまった。
．
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作者名：ちゅお子 | 作成日時：2023年7月3日 2時
