延命治療 _３５_ ページ39
マルコside
女の泣き叫ぶ声と銃声｡
それらに俺の意識は覚醒した｡
場所は……キッチンの方だろうか｡
どうしようもなく嫌な予感がして足を早めた｡
…ｶﾞﾁｬ
キッチンの扉を開くと､理解し得ない状況だった｡
｢サッチ……!?｣
赤黒い血溜まりに見知った兄弟の姿｡
胸から血を流している｡
その近くで泣き叫ぶ居候｡
そして…禍々しい雰囲気を纏った悪魔の果実｡
よくわからない｡
よくはわからない､が…｡
俺はナースを呼びに走り出していた｡
／／／／／／／／／／／／／／／／／／／／／
Aside
頭の奥でまだ木霊する泣き声｡
またお前のせいだ､と響く誰かの声｡
ああ､頭が痛い｡
そう思いながら静かに微睡みを手放した｡
目を開くと医務室｡
私はどこか怪我をしていたのか?
横を見るとサッチ｡
『無事だったんだ､良かった…｡』
一人呟くと周りから騒ぎ声｡
ん?騒ぎ声?
恐る恐る見渡すと見慣れた顔ぶれ｡
｢目覚めたぞォォ!｣
『……は?』
唖然としてしまう｡
そんな状態の私に周りはお礼を言ってくる｡
｢ありがとうよ､嬢ちゃん!｣
『え､あ､はい…?』
｢サッチの奴から聞いたぜ!
嬢ちゃんのおかげで助かったって!｣
嗚呼､成る程｡
彼は随分前に起きていたのか｡
『いえいえ私も居候させてもらってる身ですし､
何かお役に立てたのなら幸いです｡』
差し当たりのない言葉を返し､
もう帰ろうかな､と考えていると､
懐かしのナース長が声をかけてきた｡
｢本当にありがとう､この恩は返しきれないわ｡
何かしてあげれることがあったら良いけど…｡｣
いえ良いですよ､と返しかけ､一旦止めて思考｡
そういえばエースはまだ帰っていなさそうだ｡
ならば､と唇を開く｡
『できれば後から帰ってくる人達に
私の名前は出さないで下さい｡
あとは…あの犯人さんを
追う､なんて方を止めてください｡
嫌な予感がしたので｡』
お願いをし､そろそろ出発しようと腰を上げる｡
『船はどこにありますか?』
｢船につけてるわ…って､もう帰っちゃうの!?｣
驚く彼女に笑いかけて返す｡
『えぇ､仕事があるので｡』
｢仕事…?｣
『ただのしがない革命軍ですよ｡』
またもや驚く彼女を横目に部屋から出た｡
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
別れ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こん | 作成日時：2018年12月3日 18時
