延命治療 _２４_ ページ27
深夜｡
私はここ数年お世話になった家にいた｡
家に忍び足で入ると､多くのいびき｡
くすくす笑いながら､まずキッチンへ向かった｡
ずっと使わせて貰っていたキッチン｡
ここで､朝も…昼も､夜も皆のご飯を作った｡
大変だったけれど､苦痛ではなかった｡
美味しそうに､幸せそうに食べる皆､
そしてなにより兄弟達を見るだけで嬉しかった｡
足は自然とダダンさんの部屋へ向かっていた｡
寝ているダダンさんについ話し掛ける｡
『ダダンさん｡
最初会った時はちょっと迫力に怯えたけれど､
すぐに優しい良い人だってわかりました｡
なんで山賊してるんだろう?って位に｡
唯一の女の人だから､沢山お世話になったし､
ダダンさんにしか相談できない事もあった｡
本当にお母さんの様に思ってたんです｡
今までありがとうございました｡』
背を向けると､
｢…くそ餓鬼が…｡｣
後ろから小さく鼻声が聞こえた気がした｡
次に向かうのは二階だ｡
まずは麦わら帽子の彼｡
『……ルフィ｡』
数年だけれど側に居た兄弟｡
別れるのはこんなに辛いのか｡
何度か君を見捨ててしまおうと
思ってしまった事があった｡
君はあんなに素直で､明るくて､優しいのに｡
君にはごめんと言わなきゃいけないね｡
…本当にごめん｡
でも君を大切に思ってる｡
それだけは忘れないでほしいな｡
次は､愛しい彼｡
『………エース｡
ちょっと前かな､君が私に質問したでしょ?
"海賊王に息子が居たらどう思うか"って｡
私ね､とんちんかんな答えをしてしまったかも
しれないからさ､もう一回考えたよ｡
生まれた場所も､誰から生まれたかも関係ない｡
その人っていうのはさ､今までの道のりとか…
持っている信念とか｡
そういう､その人自身によってつくられるの｡
だから､私は一緒に居たこの数年､
君の生きてる道のりを見て､
持っている信念を聞いて思うよ｡
君はいい人だよ｡
優しく､心の温かい人だってね｡
＿そうだなぁ､何か最後に言うなら｡
……好きだよ｡
君がいなくちゃ生きてけない位｡
なんて､重いよね｡ごめん｡』
濡れていた枕が見えてしまった｡
『……さよなら｡』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
好きです
.
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作者名：こん | 作成日時：2018年12月3日 18時
