ONE PIECE ＿延命＿ (ページ25)

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延命治療 _２２_ ページ25

神様なる者がいるならば｡

…きっとこれは､最後の慈悲なんだろう｡＿＿

燃え盛る赤の狭間に見えた黒髪｡

見間違うことなどない､彼だ｡

与えられた慈悲を､逃すものかと必死に掴む様な｡

そんな気持ちになりながら

彼を見失わないよう､

一層強く燃え上がる炎の中を突っ切った｡

そこで見つけた愛しい貴方｡

少し怪我はしているけれど､

何よりも生きてくれていた事に感謝する｡

と､感傷に浸る暇もなく彼に炎が襲いかかった｡

『エー､ス…!』

｢A…!?｣

驚いた様な声音｡

久しぶりのその声にさえ幸せを感じる｡

必死で伸ばした手は幸いな事に届き､

すぐに彼とダダンさんを抱えて家まで走った｡

家に行く道中のこと｡

｢A……お前…｡｣

なんで､と言おうとする彼を遮り

『ルフィ君は無事?』

と話を振ると彼は数秒黙った後答えてくれた｡

｢……あぁ､きっと今は家だ｡｣

『…そう､それは良かったわ｡』

本心ではある｡

切り捨てろ､と思ったお前が何を今更､と

限りなく小さな善心が皮肉を言う様に

心を軋ませ､痛ませてくる｡

言い訳がましいかもしれないが､

決して麦わら帽子の彼が嫌いなんじゃない｡

むしろ姉弟として大好きな位には｡

でも､誰でも優先順位というものがあるんだよ｡
　

彼と話したいのは山々だし､

正直言って離れたくなどないが､

『……じゃあこれで｡』

真意に蓋をし､上町に向かった｡

『用件は……救出と､結果報告…かな｡』

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優先順位というものは

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