延命治療 _２１_ ページ24
『いっ…た…!』
さっきから肌がとてつもなく痛い｡熱い｡
当たり前だ､焼けてるのだから｡
もっとも､飛び込んで数十分で
未だ大きな火傷はできてない｡
こういうとき､つくづく自分の能力に感謝する｡
…前回のルートではこの能力で
あんなに無力感を味わったというのに｡
『都合良い話ね､まったく…｡』
なんて考えていても意識は耳へ｡
彼の声を見つけようと､必死に音を拾い続ける｡
｢〜!〜〜!?｣
低く慌てた声｡
……違う｡
｢〜〜…｡｣
若く絶望した声｡
……違う｡
声という声が脳内に溢れかえるが､
私はその中にある
愛しい声を聞き逃さない｡
｢…俺は､逃げねぇ!｣
『ｯエース!?』
嗚呼､何を言っているの､貴方は｡
誰と一緒に居て､何をしているのか｡
＿＿そんなことは私にはわからない｡
でも､私は…私は､貴方が死んでしまったら……!
だから､お願いだから逃げて下さい｡
敵に背中を向け､どれだけ侮辱されようと｡
その背中に､何を守っていようと｡
…私はやっぱり､"貴方に"生きていてほしくて｡
本当に､酷い話だ｡
でも貴方が私の全てだし､生きる意味だ｡
嫌われようともかまわない｡
生きてくれさえすれば､もう｡
声が聞こえた方へ走る｡
もっと速く､
もっとずっと速く…!
恐怖か､不甲斐なさなのか､
目が涙で滲んでいく｡
滲んだ視界には､やっぱり赤しか映らない｡
あぁ､熱い｡
あぁ､痛い｡
でも､肌が焼け焦げても､
私は貴方を見つけて見せる｡
だから待ってて｡
お願いだから死なないで｡
私は､貴方ともう言葉を交わせないなんて嫌だ｡
私は､貴方にもう触れれないなんて嫌だ｡
私は､貴方のあの太陽の様な笑顔をまた見たい｡
私は､屍となった貴方となんて会いたくない…!
嗚呼､神様なんて信じてなかったけれど｡
〜
『神様?誰も見たことないのに居るわけ…｡』
｢そうか?俺は信じてみたいけどな〜｡｣
『不思議ね､エースは｡』
〜
もしも神様がどうにかしてくれるなら｡
信じとけばよかったな…｡
そう思った時､
…私の目はあの愛しい彼の黒髪を捉えた｡
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
神様は
.
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作者名：こん | 作成日時：2018年12月3日 18時
