辰哉君は私の全て (ページ3)

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辰「てかお前さ、あれ今日中に終わらせないとなヤツじゃないわけ？」

『………そうなんだよね』

エレベーターを降りて、食堂までの道を歩きながら話す。

辰「あとどれくらいよ」

『…………半分くらい』

辰「…………はぁぁぁ、」

額に手をやり、本日二回目の、私への溜息。

辰「あのな、めぐ。
もう入社して4年目だぞ？

そろそろ要領良く仕事しなきゃダメだろーが」

『………ごめんなさい』

辰「俺に謝るなっての、」

ふっかにこうやって呆れられるのも無理はない。

元々、就職先も自分でまともに決められなかった私に、一緒に行くぞ、と誘ってくれたのはふっかだった。

まさか二人とも採用され、同じ部署に配属されるなんて夢にも思ってなかったけど、ね。

ここまで来れば、腐れ縁も腐れ縁だ。

辰「全くよー、めめとは大違いだなお前は」

『ホントだよね、全部いいとこ持ってかれたかも』

めめというのは、私の双子の弟、目黒蓮。

私と違って、なんでも器用にそつなくこなす弟は、

アイドルをやりながら、ファッション雑誌のモデルもこなしている。

周りは私達双子の事を

めぐ、めめと区別化している人がほとんど。

辰「めめ元気かなー、久々会いてーなあ」

『忙しそうだもんね、蓮』

ふっか、昔はA、蓮って呼んでたのになぁ、なんて。

私も人の事言えないか。ふっかって呼んでるし。

いつからだとか、何がきっかけだとか、覚えていない。

いつのまにか、壁が出来ていた。

いつのまにか、距離が出来ていた。

男女の幼馴染なんて、所詮こんなものなのかもしれない。

でも、本音を言うならば、私は

昔みたいに、Aって
呼んで欲しい。

でも

蓮と私に大きな差が出来てしまったのと同じくらい、

ふっかと私にも、埋められないほどの差が出来てしまっている以上、

もう昔みたいに、馴れ馴れしく

辰哉君、なんて呼ぶ資格は

私には、ない。

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