照兄の彼女になりたい5

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照「お、ナイスタイミング。
俺もいま乾かし終わったとこ」



『緊張する〜』



照「はい、ここおいで」





スキンケアを終え、タオルで髪を巻いたまま再びひーくん家へ。


5秒で着くとはいえ、共用の廊下をこの姿で歩くのはなかなか恥ずかしかったけど。





ソファに座るひーくんが、その下に一緒に買ったクッションを置き、ポンポンと叩く。


小走りでかけより、指定された席に座る。







照「……………はい、プレゼント」


『え！？』




そこには、今まで使っていた物とは違う、ヘアオイル。


ずっと使っていたやつも結構いいやつだったけど、これは、とにかくめちゃくちゃ高そう。






『いつの間に？』




照「んー？今朝だよ。

昨日ずっと調べてたんだよねー。
今日香り確かめたら、ばっちりAに似合う香りだったから。迷わず買った」





そう言って、新品のオイルを開封して、何滴か手に垂らし、手のひらに広げた後、私に嗅がせてくれる。





『え！この香り大好き！
"照兄"の香水みたい』






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…………え？






照「いや、Aっぽい香りだから買ってきたって言っただろ………




って、え？」









照、兄？








…………誰？








『照兄、……て、誰？(笑)』



いや、誰。急に知らない人出てきてジワジワ面白くなる。



照「あ、ああ、………誰だろうな」





まだ湿ってる私の髪の毛にそのまま優しく馴染ませた後、ドライヤーで乾かしてくれるひーくん。


表情が若干曇ったような気がしたけど、気のせいかな。




………でも、私この固有名詞、

実は聞き馴染みあるんだよね。






『………照兄って、実は私も知らない人なんだけどさ』



照「…………」




『私のママとか、康二とかが、私にコソコソ秘密の話する時、いっつも登場するの。

"照兄"って人』






ひーくんは無言で私の髪を乾かす。




『………でもなんで今とっさに出てきたのかな〜、知ってるの名前だけで、顔も何もしらないのに』



不思議だ。






照「………誰なんだろーね」







この時、どういう気持ちでひーくんが髪を乾かしていたのかなんて、私にはわからない。




ただ、やっぱり感じてしまうのは






既視感と、頭の痛み。







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