照兄の彼女になりたい5

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『……康二、あのね』




康「待って。俺から話していい？」





意を決して口を開くと、康二に阻止される。






康「………俺、Aが好きやで。
出会った時からずっと、今も」







まっすぐ私の目を見て伝える康二。

胸が、痛くなる。






康「………でも、好きだからこそ

Aに、自分の気持ちに嘘ついて欲しくない」






はっとする。





康二、今日私が話す内容、わかってて……？







康「何にも気にする事ない。

Aが幸せになるのが、俺にとっての幸せやから。
だから、遠慮なしで、もう一度返事くれるかな？」





視界に映る康二の姿がボヤける。


頬を何かが伝う感触。



それに気づいた康二が、ふはっ、と悲しそうに笑って、向かいから手を伸ばし、それを拭う。







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康「………A、俺と結婚してください」







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『………ごめんなさい。



好きな人が、出来ました』







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康「………よく言えました。えらいえらい」






ポンポン、と頭を撫でられ、涙腺が崩壊する。





康「あー、もう、
そんな泣いたあかんよモデルさんが！

目腫らして撮影現れたら俺がカメラマンやったらめっちゃ怒るで！」




『ごめ……っ、康二っ、』




康「よかったやん。


どれくらい好きなん？その人の事」





『……康二と一緒にいる時は、すごく穏やかな気持ちになって、安心するの。

だけど、


その人と一緒にいると、ドキドキして、その人の行動ひとつひとつにギュッと胸を掴まれて、熱くなる。


自分が自分じゃなくなるくらい、その人の事が頭から離れなくて、』



康「うんうん、そっか」





私のつたない言葉に、何度も何度も頷いてくれる康二。




『………その人と、お付き合いしたいって、思う』



康「うん。ありがとう。
ごめんな、話すの勇気いったやろ？
よー頑張った。




………最後に、ひとつだけ聞かせて」





そう言って、頭をポンポンする手が止まる。







康「俺と付き合ってる間、幸せやった？」







"A、今幸せ？"







そう何度も聞いてくれた康二。



もしかしたら、最初から康二はわかっていたのかもしれない。


私が、康二の好きとは違う事に。


本当に最低な事をした。


でも。





『……幸せだった。楽しかった。

それに、嘘はない』






康二と付き合った期間は、私にとって宝物。



沢山の幸せを与えてくれた。


感謝してもしきれない。







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