照兄の彼女になりたい4

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Hikaru side






照「…………」





何してんだ、俺は。







あの日、何の為にAの側を離れた？



俺のせいで壊れかけたAを助けてくれたのは誰だ？




あの日から今まで、Aを守ってくれたのは誰だ？






俺じゃ、ないだろ。








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カフェでAが気を失って倒れた後、
周りにいた人達が病院に連絡しようとしたが、

止めた。



代わりに、タクシーを呼んでもらい、俺の家まで運んだ。




………倒れた瞬間、
久しぶりにAに触れた。


途端、息ができなかった。




気づいたら、自分の欲望が勝っていた。








Aは、渡さない。


Aは、俺のだ。







なんて欲深くて、弱い生き物なんだ俺は。



何度も何度も鳴り続ける、Aのスマホ。



表示される名前は、


"康二"




今、Aは康二のもの。



でも、さっき







"て、る、にぃ……、
行かない、で………"





確かにそう言った。




記憶が、戻った？






…………ほら、記憶が戻ったかもしれない事がわかって、

喜んでる。



Aが素直なのは、俺によく似てる。




俺は、こんなにも素直だ。






俺のベッドですやすや眠るAが、

この状況が、






嬉しくて嬉しくて仕方ない。





真っ白な肌も、長いまつ毛も、ぷるぷるの唇も、
息を呑むほど綺麗な髪も、


ほら、目の前に帰ってきてるではないか。


あんなに苦しい思いをしてまで、離れる必要なんてなかったんだ。





そっと、眠っているAの頭を撫でる。

撫でる手の親指が、真っ白な頬を捉える。





ゆっくり、それはそれは丁寧に、
愛おしく思う気持ちを最大限に込めて頬を滑らせると




ピク、と瞼が動く。








照「………っ、A！




大丈夫か？」







もう一度、あの頃と同じ呼び方で、

君の名前を呼ぶ。








漫画みたいだよな。



どうやら俺達、離れられない運命のようだ。



離れては、くっつく。

世間の常識がいくら俺達を拒もうとも、運命には逆らえない。









ゆっくりと瞼が開き、大きくて丸い瞳が、俺を捉える。





そして君も、あの頃と同じ呼び方で、

俺を呼んでくれる…………









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『こう、じ』








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