照兄の彼女になりたい4

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康二は、ロマンチストだ。


女の子の喜ぶ事を、きちんと考えて実行してくれる人。






『あり、………が、っ、と……』







なのに。




なのになのに。







100％喜べない自分がいる。








そんな自分が



嫌いで、憎くて、仕方ない。









康「ほんまは高校生の時の約束の、

Aの写真集の仕事決まった時にプロポーズしようと思っとってんけど、


どうしても待たれへんかった、許して」








箱を一度閉じ、私の頭を撫でる康二の顔は、

とてもとても優しかった。




言葉にせずとも、こんなにも愛が伝わる。





中学、出会った時のまだあどけなかった康二が重なる。






今目の前にいる康二は
こんなにも、大人っぽい。




ずっと一緒に過ごしてきたんだな、と心の底から実感する。









康「とりあえず、花束はそのままAに差し上げます。

指輪は俺が預かっとくな。

気持ち固まった時まで、大切に保管しとくから。




何年かかってもええで。

ゆっくり考えてみて」








何故、そんなに優しくするの。




康二の優しさに触れるたび
自分の醜さがどんどん浮き彫りになっていく。





この手を笑顔で受け取り、



"はい"



と言えたなら、どれだけ幸せなのだろう。







私には、そんな事できない。









こんな時にでも思い出してしまうから。









昨日出会ったばかりの








彼の存在を。









『康二、ありがとう………っ、


しっかり、考えてみるね」





ちゃんと、康二の目を見て言えた。



康二は微笑みながら、ゆっくりと頷いた。









しっかり、考える。




とても大事な事だから。




お仕事の面でも、プライベートの面でも。









それが、こんな素晴らしい機会をくれた康二への、
せめてもの礼儀だから。








長く一緒にいたから、わかる。



康二が、プロポーズのタイミングが今な事に
心から満足していなかった事くらい。








まるで、焦っているよう。






何に焦ってる？





本当は二人で交わした約束を果たした時にする予定だったんでしょ？






待てなかった理由は何？









わかりそうで、わからない。







それについても、考えた方がいい？




それとも、知らないままの方がいい？






康二は、私を好きだ、愛してる、大切だと言うわりに









隠し事が、多いよね。









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