照兄の彼女になりたい3

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無言で、先程通った道をとぼとぼと歩く、俺とふっか。


ふっかの会社への忘れ物なんか、当然嘘で。


俺が酷い顔してたから、連れ出してくれたんだろうな。






辰「………モデルやってる事も、知らなかったってことだよな？」



照「うん」



辰「翔太と繋がりがあったのも知らなかったんだよな？」



照「うん」




辰「………翔太が言ってた、その…
ラウールと…………」




照「そもそも俺、Aから返事なんて貰ってないし。
Aが誰と付き合おうが、Aの自由だもんな」


照「こんなしがないサラリーマンのおっさんなんかより、似合ってんじゃん」




口を開き出したら止まらない。






辰「……………照」







全部全部、夢だった。



ふっかが前に言ってた通りだ。



夢を見ているだけだった。









照「……………俺達、
なにも始まってなんかなかったんだよ、最初っから」





辰「そんな事ないだろ、あれは翔太の勘違い……」



照「馬鹿みたいだな、勝手に両思いだと思って、勝手にこれからどうしようなんて考えててさ」




辰「おい、照聞けって」






照「昨日さ、Aがキスしてくれたんだよな。

でもあれは全然俺の為に嫌々やってくれてて…」


辰「照！」




ふっかが少し強めに俺を呼ぶ声で、はっとする。









辰「…………泣くほど好きなのかよ、お前」








頬を何かが流れ落ちる感覚。






ああ、俺、



泣いてんのか。





だっさ…………









辰「もう、やめろ。
こんな不毛な恋愛、お前がこれ以上傷つかない為にも」





照「……………」





辰「なぁ、この間二人で飲みに行った時話した、例の件どうする？ってやつ、
ちょうど返事、今日までなんだよ。
方法は、松村さんに"行きます"って言うだけ。
そして今日、松村さんが飲み会に、来る」






…………ふっかの言いたい事はわかる。






辰「期間も空けば、気持ちもリセット出来るって。

Aちゃんの為にも、自分の為にも、
距離置いた方がいいんじゃない？」







ふっかの言うとおりだ。



何の文句もない。





Aの恋愛の邪魔をしていたのは、俺。



俺も、もう正直しんどい。




蓮の時は、

Aは俺のだ、誰にも渡さない、

なんて思ったけど、




今回は、なんだかそんな気にもならなかった。



何故だろう。









そろそろ辞めないといけないって、



心のどこかで思っていたからかもしれない。







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