4話 ［困惑］ ページ4
フッ、と体が軽くなるような感覚を覚えるとともに、誰かに抱え込まれる。恐る恐る目を開ければ、こちらを覗き込むあの悪魔の姿があった。
「さあ、カメラちゃん。しっかり撮ってくださいね？今日の動画は��悪魔に魅入られた子、助けてみた！��です！」
「じ〜！」
目が合うと、悪魔は目を細める。カメラちゃんのレンズとも目が合う。いや、ていうか、帰ってなかったの！？
「ちょっ、なんでここに──」
「俺のもんに手を出してんじゃねえぞ、この悪魔！」
「悪魔ですが、なにか？」
私を抱えたまま、あの醜い悪魔の攻撃を避ける彼の姿はさながらヒーロー。悪魔といえど、助けてくれたという事実に困惑するしかない。だって、私の知る悪魔はもっと狡猾で、慈悲もないクズだ。
「Aさん、オレちゃんと契約しましょう。契約したら、『アナタを守ってあげます』。その体にまとわりついた趣味の悪い契約を断ち切ることくらいなら、オレちゃんには出来ますので」
「はぁっ！？でも、とか言って、代償は──」
「時間がありません。オレちゃんも長くは避け続けられないので、二人まとめてDEAD ENDになってしまうかもしれません♪アナタが守って欲しいと願うなら、この契約書にサインを」
出てきたのは分厚い契約書と一本のペン。こんなものを読んでいる時間はない。でも、信じても良いのかな。契約を断ち切ってくれるみたいだし、今考えればさとしくんだって生きているし契約によって苦しめられているということもなさそうだし。
契約書に急いで名前を書く。そして彼はそれを見ると、もう一度目を細めた。
「
悪魔──ブラックは大きな鎌を取り出すと片腕で私を抱きながらあの悪魔に向かって斬りかかった。あっさりと真っ二つにされる光景に思わず息を飲んだ。
「Aさん、お怪我は？」
「ない、けど」
「それは良かった。Aさんに傷が付くのはオレちゃんもさとしくんも嫌ですし」
「それよりも、なんで助けてくれたの？私は、どうしようもないクズなんだよ。親が喧嘩してる時に運が良いって思うような奴だよ……」
「育てられた環境を思えば仕方の無いことかと。それよりもアナタはクズじゃありませんよ。だって、さとしくんに優しくできているでしょう？」
「でも……」
「でもじゃありません。それに、アナタは悪魔が嫌いなのにオレちゃんを信じてくれました。これほど名誉なことはありません」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘆花(プロフ) - いやはや悪魔との恋愛はまさに死ぬ気で行うべきですね。悪魔的な物語で最高です！ (8月6日 23時) (
レス) @page36 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - (付け足しです)最終的に夢主に対してキュートアグレッション感じ始めてたとゆう結論に辿り着いたのが以下にも悪魔的で美しい。 (2023年3月31日 18時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - たった一人の人間に興味を抱いて、愛を知ろうと奮闘する人外はどの作品でも魅力的だからまさか「ブラック」でやってくれるとは！ (2023年3月26日 21時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
メロン - とても面白かった。どうか更新ヨロシクお願いします (2022年11月21日 17時) (レス) @page36 id: ed16b3ac39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コマク | 作成日時：2022年7月4日 22時
