3話 ［不幸中の災い］ ページ3
「……え、私に？」
意外、だった。人間に興味を持つ悪魔は珍しいからだ。でも、彼は俗世のものに興味津々だし、Youtubeやってるし。
「ええ。とても──」
『だから言ったんじゃない！！あんな子要らないって！！』
外まで聞こえてくる怒号に思わず耳を塞ぎたくなる。今は恒例の夫婦ゲンカ中だ。けれど運がいい。今二人がケンカ中なら私は気付かれない。
相変わらず後ろをついてくる悪魔に対して、人差し指を口元へ持っていき静かにと促す。
『お前が産んだんだろ！』
『私はあんな子望んでなかった！』
またいつもの話題でよく飽きないものだ。私はそっと家の中へと入れば、地下へと向かう。この家での私の居場所は、こうジメジメして暗いこの地下だ。
立て付けの悪い木の扉を開こうとすれば軋む音が響く。開いた隙間から見えた黒い影にひゅっと息が詰まる。開きかけた扉を閉めて悪魔の方へと向き直る。
「ねえ悪魔、今のうちに帰って。家まで邪魔されたくない」
「……そうですか。ではオレちゃんはこの辺で」
案外聞き分けのいい悪魔だ。もしかしたら、彼なら……なんて。彼の姿が消えたのを確認してから扉を開く。その先にいたのは、お母さんとお父さんが契約している悪魔だ。相変わらず気持ち悪い。
「へへ、やっと来たんだなぁ」
代償を娘に払わせるなんてどうかしてるよ、ほんと。心の中で愚痴を零しながら、その悪魔のご機嫌取りにとしたくもない笑顔を取り繕った。
「ほらこっちに来てくれよ。サービスだろ、サービス！」
「はい……」
「いつもの、な？ほら、こっち向けって」
ああ──気持ち悪い。あの悪魔の言う悪臭は人間の私には分からないけれど確かに悪臭を放っていそうではある。顔を醜い悪魔へと向け、目を伏せる。早く終わらせたい。近づいてくる唇に、嫌悪感や吐き気を覚えつつも割り切る。仕方の無いことだと。
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蘆花(プロフ) - いやはや悪魔との恋愛はまさに死ぬ気で行うべきですね。悪魔的な物語で最高です！ (8月6日 23時) (
レス) @page36 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - (付け足しです)最終的に夢主に対してキュートアグレッション感じ始めてたとゆう結論に辿り着いたのが以下にも悪魔的で美しい。 (2023年3月31日 18時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - たった一人の人間に興味を抱いて、愛を知ろうと奮闘する人外はどの作品でも魅力的だからまさか「ブラック」でやってくれるとは！ (2023年3月26日 21時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
メロン - とても面白かった。どうか更新ヨロシクお願いします (2022年11月21日 17時) (レス) @page36 id: ed16b3ac39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コマク | 作成日時：2022年7月4日 22時
