12話 ［鬼ヤバフラグを全力回避］ ページ12
そんなこんなで出掛けることになったのだけれど。いつの間にかブラックはストリート系のファッションに着替えていた。なぜ？と問うてみたものの、気分ですとしか返ってこなかった。
「ねえさとしくん。さとしくんはいつもブラックと何してるの？やっぱり動画撮影？」
「うん、そうだよ！酷い目にあうこともあるけど、なんだかんだ楽しいっていうのが本音かな。Aお姉ちゃんこそいつも何してるの？」
「私は……裁縫だったり、家事をしてるかな」
「家庭的ですね。裁縫ではどんなものを作ってるんです？」
意外と食いついてきたブラックにたじろぐ。動画を一本流し見しただけだけど、こういうキャラだっけ？まあ、いいか。教えても減るものじゃないし。
「あー……だいたい小物類だけどポーチとかペンケースとか作ってるよ」
「Aお姉ちゃん、前にペンケースくれたもんね！今も使ってるよ！」
その一瞬、ブラックが怪訝そうに目を細めた気がした。……いや、今度は気のせいじゃない。確かに彼はさとしくんの言葉に嫌悪感を示していた。だとしたら、なんで？
「今も使ってるんだ？頑張って作ったから嬉しいな」
「Aお姉ちゃんから貰った物なんだもん！」
「Aさん、オレちゃんにも何か作ってもらえます？」
「えっ、いいけど、ブラックって何か使うもの……そうだ、カメラちゃん！」
「じっ？」
カメラちゃんにハンドメイドの蝶ネクタイを付けてあげたらもっと可愛くなりそうだ。手招きしてカメラちゃんを呼ぶ。
「……うん、イメージはバッチリ。カメラちゃんに蝶ネクタイを作ろうかな。いいかな、カメラちゃん」
「じ〜！」
「オレちゃんに作って欲しかったのですが……まあ、いいでしょう」
身振りで大きく賛同の意を示すカメラちゃんにクス、と微笑む。あ、まって。裁縫道具も布も家だ……！
「ついでに裁縫道具も新調しますか。Aさんが快適に過ごせるようにしないといけないですし」
「それってもう『守る』と関係ないんじゃ？」
「契約のオマケみたいなものなので、お気になさらず」
「いやブラック、普通の人は気にすると思うよ！？」
「そうなんですか。これくらいほんの気持ちなのですが……」
ほんの気持ちがデカすぎてさとしくん無しじゃ色々とマズかっただろうな。心の中でさとしくんに感謝をしながら、手のひらの上のカメラちゃんを撫でた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘆花(プロフ) - いやはや悪魔との恋愛はまさに死ぬ気で行うべきですね。悪魔的な物語で最高です！ (8月6日 23時) (
レス) @page36 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - (付け足しです)最終的に夢主に対してキュートアグレッション感じ始めてたとゆう結論に辿り着いたのが以下にも悪魔的で美しい。 (2023年3月31日 18時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - たった一人の人間に興味を抱いて、愛を知ろうと奮闘する人外はどの作品でも魅力的だからまさか「ブラック」でやってくれるとは！ (2023年3月26日 21時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
メロン - とても面白かった。どうか更新ヨロシクお願いします (2022年11月21日 17時) (レス) @page36 id: ed16b3ac39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コマク | 作成日時：2022年7月4日 22時
