『Ｍｏｏｎｌｉｔ ｎｉｇｈｔ』 142 ページ14
「うそつき。」
「楽しいサッカーが何なのか分かるような気がするって。君たちの…帝国のサッカーをやるんだって、自分のことが好きになるって、言ったでしょ。」
Aは今にも泣きそうな声で口ずさんだ。
ポケットからそのハンカチを取り出し、佐久間の唇についた血をふいた。佐久間はAの手を荒く引き上げた。ハンカチが哀れに落ちた。
瞬間的な痛みで、Aの顔を顰める。
「俺たちのサッカー？俺たちのサッカーは負けた。お前が愛したサッカーは負けたんだ！！」
「っ…」
佐久間とAの間の距離が、今にも触れ合うように近づいてきた。瞬間、ギクッとしたAだったが、後ずさりはしなかった。
Aは彼が怖くない。怖いのではない。ただあまりにもおぼろげですまない。
佐久間が握っていたAの腕を荒く離なした。そのまま後ろに倒れそうになるAを円堂は両腕で彼女をつかんだ。
「俺は今がいいんだ。お前とのサッカーよりずっとな。」
「……。」
「俺だけの天国であることを願った、馬鹿だったな、俺……」
佐久間は最近の言葉を小さく呟いた。誰もその声をきけなかった。佐久間は円堂の腕のなかで自分を見上げる彼女を冷たく睨んだ。
「……俺は今までAの言うように結果に関係なく楽しめばいいと思ってた。だが、今日は違う。お前たちの間違いを気ずかせるためには戦って…。絶対勝つ！ 本当の俺たちのサッカーが何なのか、Aが愛したサッカーが何なのか見せてやる！」
円堂は今にも泣きそうに唇をかみしめるAの肩をぎゅっと抱いたまま、彼らに叫んだ。
幼なじみの努力の実、全てのものとも言える彼女のサッカーを無視した彼らと影山への覚悟の叫びだった。
『Ｍｏｏｎｌｉｔ ｎｉｇｈｔ』 143→←『Ｍｏｏｎｌｉｔ ｎｉｇｈｔ』 141
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
π丸(プロフ) - いつも楽しく最初から見てます、、、！これからも応援してます！絵も文才も素晴らしくて、、、！惚れました(((((頑張ってください！！！投稿楽しみにしてます！ (2021年5月20日 4時) (
レス) id: fe1deb6ad5 (このIDを非表示/違反報告)
バナナ牛乳(プロフ) - 琴葵さん» コメントありがとうございます！大好きって言ってくださると、元気が溢れます！テストも終わり余裕が出来ました！これから頑張って更新します！これからも私の話を楽しめるように頑張ります！！ (2020年12月14日 0時) (レス) id: ae8dbd98b4 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 何故もっと早く出会えなかったのか…作者さんの書くこの作品イッキ見してしまいました。惚れ込みました大好きです！！！自分のご予定など色々あるかとは思いますが、ご自愛下さいませ。更新楽しみにしております！！ (2020年12月5日 0時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
バナナ牛乳(プロフ) - イナイレ好きさん» ご意見ありがとうございます、佐久間くんも良いですね！まだ落ちが誰かは言えませんが、楽しんでください！ (2020年11月22日 22時) (レス) id: ae8dbd98b4 (このIDを非表示/違反報告)
バナナ牛乳(プロフ) - イナイレ好きさん» コメントありがとうございます！！イラストも時々入れてみるのどうかな、と思ってやってみましたけど、良かったです！！これからも頑張ります！ (2020年11月22日 22時) (レス) id: ae8dbd98b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：バナナ牛乳 | 作成日時：2020年11月10日 0時
