もう一つの輝き『イナイレ』 (ページ35)

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『Ｍｏｏｎｌｉｔｎｉｇｈｔ』 15 ページ35

鬼道side

"..相手をボコボコにして、サッカーに対して絶望を感じさせるプレーが正しいの?"

"…勝てばいいんだ。どんな手を使ってでも勝つのが第一だ!"

"私はみんな楽しいサッカーを作りたかったんだ。皆が楽しんで、サッカーで絶望する必要がない、そんなゲームを…そんな選手を育てたかった。"

"それで研究に研究を重ねたんだ。帝国サッカー部が強くなるように。楽しくサッカーができるように。だけど……"

Aは、あの日の試合を思い出したのか、ぐっとこらえていた涙を一滴流し始めた。

俺も佐久間もそんな彼女を見て何も言えなかった。

実は知っていた。Aのトレーニングを経験した選手として、彼女がどれほど選手を大事にしているかぐらいは痛切に感じた。

自分ができないサッカーをやりこなす存在たちに対する羨望、希望、嫉妬のすべてが込められた目つきで、自分たちを見つめる彼女が分からないわけなかった。

"だから雷門に行ったんだ。皆が楽しめるサッカーを見せるために"

"鬼道君も間違っていると、うすうす気づいていたんでしょう。"

"...もう一度考え出して。私が望んだ、君たちが望むサッカーは何なのか。"

"……FF決勝で会おう"

Aはその言葉を最後に後ろを回って立ち去った。だんだん遠くなる後ろ姿に、俺と佐久間はただぼんやりと眺めた。

"鬼道"

"ああ"

"……俺たちは間違ったのか"

".……"

佐久間の質問に何も答えられなかった