いちばん好きな桃のゼリー ページ37
｢んー……やっぱまだ結構熱ありますね。もう少し休んでいきますか｣
｢いやいやいや、大丈夫、大丈夫です！｣
私の額に手を当てて、しばらく何かを考えて彼はそう言った。
動揺していきなり立ち上がった私に、私の体は追いつくことが出来ず体制を崩す。
崩れた身体は、いとも簡単に彼の胸へと飛び込んだ。
布団とおなじ、柔軟剤の匂いが胸いっぱいに拡がった。
｢……ほら、大丈夫じゃない｣
｢すみません。｣
｢俺はあの時の恩返しがしたいんです…ダメですか｣
そんなにきゅるきゅるとした瞳で言われたら、ダメじゃないですとしか返せないのが人間だって私信じてる。
そこから松村くんは、昨日からろくにお風呂に入ってなくさらに汗もかいている私にお風呂に入るように進めてくれた。
もう今日は素直に彼に従おうと決めた。
あまりにも大きすぎるお風呂と洗面所
なにもかもが綺麗にされていて、なんだか逆に生活感が感じられない。
仕事柄メイクすることがあるからと、ご丁寧にメイク落としまである。
着替えですと渡された服は、なんとも言えない絶妙なセンスをしていたが
有難く受け取ることにした。
正直汗をかいていて気持ち悪かったのでお風呂に入れたのはラッキーだった。
でも、節々に感じるアイドル臭
｢アイドルのお風呂はいっちゃった……｣
なんだか如何わしいように聞こえるが
そう聞こえないようにお風呂で呟いた。
お風呂から出ると松村君はいなくて、
ドライヤー使ってください。とだけ達筆な字で書いてあるメモが残されていた。
いくら1度助けたからといって、ここまで迷惑をかけるのは如何なものか……。
さらに相手はアイドル
謝罪のためにいくら払っても足りない気がした。
しばらくすると、玄関の方から音がして
帽子とマスクを深く被った松村くんが戻ってきた。
｢なんか食べれそうなもの買ってきました｣
｢ほんとにすみません｣
｢また謝ってるよ笑｣
そうやって笑いながら彼はきっとコンビニで買ってきたであろう袋から
ポカリやゼリーを出して、綺麗に1列に並べてくれた。
一番好きな桃のゼリーに手を伸ばし、これ。と伝えた。
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めん(プロフ) - 面白いです。続き待ってます。 (4月27日 15時) (
レス) id: 0ff6b082e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 一気に読んでしまいました！このお話に出会えて嬉しいです。更新楽しみに待ってます (2月6日 21時) (レス) id: 81f237c494 (このIDを非表示/違反報告)
ふじかえる(プロフ) - あぁぁぁぁ苦しいです。この苦しさ好みです。ありがとうございます。更新楽しみにしてます！ (2月2日 21時) (レス) id: a68a8bb87f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wada | 作成日時：2024年2月1日 3時
