彼たちがデビューするまで。【くろくん】 (ページ4)

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「入院なのですが...」

勝手に進められる話に心が沈む。

何もない病室に

彼に会えない毎日

10日もこんな所にいたくないそう思った

「お家に、帰りたいです」

「でも...」

「蓮と一緒にいられるお家に帰りたいです」

静かに訴える私にお医者さんも彼も黙ってしまった。

手続きを済ませたくさんの薬を受け取る

悔しいけどほんとに病気になってしまったんだと自覚した

半日ぶりに帰った我が家はなんだか懐かしく感じた

落としっぱなしのドライヤー、湿ったタオル

散らかった部屋。昨日の彼の焦りが見えた。

「部屋、片付けよっか」

「うん」

無言が辛かった。

「ごめんね。こんな大事なタイミングでこんなことになっちゃって」

「謝んないで、今は自分を大事にして」

「ありがとう」

お礼を言うだけで精いっぱいだった。

彼の大事な時期にこんなことになってしまって

これから先の不安と

荷物になってしまう申し訳なさと悔しさで胸がいっぱいで

それでも泣いてはいけない。強くなきゃ

痛いくらいいた唇を噛んで涙をこらえた

「（人１）？我慢しないで、泣いてもいいんだよ」

彼は私の頬を両手で包み、そっと唇を指で触りそう言った

その一言で心に張り詰めてた糸が切れた音がして

彼に抱き寄せられるとずっとためていた涙が全部溢れた。

「ほんとは、怖い、、手術も怖いし死んじゃうかもしれないのも怖いっ...

何より、蓮と会えなくなるかもしれないことが1番怖い」

「俺も、怖いよ」

「蓮っ...」

抱きしめる力が強まる

彼の想いが伝わってきて苦しかった