彼たちがデビューするまで。【くろくん】 (ページ23)

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病室に戻るとすでに彼がいて

椅子に座って窓の外の青空を眺めいた

「あれ？蓮、お仕事は？」

「なんか、メンバーに話したら帰れって言われた」

「そんな、よかったのに」

「いいから。大丈夫？疲れてない？」

「平気だよ、全然元気。」

微笑む彼に笑い返す。

うまく笑えてるかな？

しばらくして病室に入ってきた先生はうなだれた顔をしていて

なんだか嫌な空気が流れる

「ちょっと待ってて、俺行ってくるから」

「でも...」

「いいから」

落ち着くような静かな響き、でも暗い

内容までは聞こえないけど、向こうで話しているのがわかる

「なんだよ、それ！！」

今までに聞いたことのない声。

突然響く怒鳴り声が怖くて、何も聞きたくなくて思わず耳をふさいだ

しばらくして帰ってきた彼の顔には泣いた後があった。

「（人１）....」

私を抱きしめるとまた静かに泣いた

「検査の結果、症状が思ったよりもだいぶ進行しており、申し上げにくいのですが手術の後遺症で数年間の記憶がなくなってしまう可能性が高いです」

「数年って...？」

「そうですね、、断定はできないのですが4，5年ではないかと」

4，5年の記憶

それは、2年前に出会った私たちにとって

2人の思い出が全部なくなってしまう事を指していた

「嘘、、でしょ？」

わけもわからず涙だけが溢れた。