彼たちがデビューするまで。【くろくん】 (ページ15)

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開いたドアから蓮が息をきらして入ってくる

「おかえり...どうしたの？」

何も言われず肩をつかまれた

俯いているその表情はいまいち読めない

「蓮...？」

「何で、何でふっかさんなの？」

「え？」

「さっき下で会った。問いただしたら倒れたって聞いたんだけど」

「えっと、たいした事じゃないし...」

「たいした事ないってなんだよ！」

心配かけたくなかっただけなのに。

そっと彼の顔を見ると悲しそうな、今にも壊れてしまいそうな顔をしていた

「なんで俺じゃなくてふっかさんなんだよ...」

「だって、蓮仕事だったじゃない」

「関係ねーよ！俺に電話しろよ！」

すごい剣幕で怒鳴る彼に戸惑う

泣くのをこらえているようなその表情が胸に刺さる

「なんで俺じゃねーんだよ」

「余計な心配かけたくなくて」

「心配くらいさせろよ...」

必死に訴える彼に胸が痛んだ

辛くなって目をそらす

何かを察したように彼はため息をついた

「ごめんなさい。本当にごめんなさい」

「いいよ、もう謝らないで」

冷たく言い放ち

立ち尽くす私の横を通り過ぎてしまった

どうすればいいのか分からない

うまくいかないことが多すぎて

もうこのままだめになっちゃうのかな？