彼たちがデビューするまで。【きいろくん】 (ページ4)

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その日の彼はいつも以上に甘えん坊だった。

「何で今日はそんなに引っ付いてくるんですか～？」

「いつもと変わらないですよ～」

デビュー日が近づいてお仕事大変なのかな？

いろいろかかえているものがあるんだろうと思った。

「私、そろそろ寝るね。」

「俺も今日は寝る。」

珍しい。

いつもは私が先に寝て、彼は振り付けやライブの事、筋トレなどで寝るのが遅い。

「やっぱ、今日はいつも以上に甘えん坊だね～」

「そんなことないし」

そう言いながらも彼はベッドの中で私の事を抱きしめた。

いつもならいろいろな話をするけど、今日は2人黙ったままだった。

言うなら今しかない。そう思った

「ねぇ、ひーくん。私たち別れようか。」

私が一言そう言うと彼はさっきよりもきつく私の事を抱きしめた。

なんだか、彼の気持ちがダイレクトに伝わってくるようで胸が締め付けられた。

「ずっと前から思ってたの。もっと早く言うべきだった。ごめんね。」

「ごめん、本当にごめん。俺の方から言うべきことなのに。言えなかった･･･。」

泣いているのが分かった。

彼も彼なりにいろいろ考えていたみたいだ。

「泣かないで？ひーくんのせいじゃない。私が決めたことだから。」

「泣いてないしっ･･･。そういうお前も泣いてんじゃん。」

「うるさい、ばか。」

お互い泣いているのはばればれなのに。
ほんと、大好き。

「それでね、私ひーくんと別れるまでにやりたいことたくさんあって、それノートに書いたんだ。ひーくん忙しいから全部は無理だけどできるだけ叶えたいなって。

私の最後のわがまま聞いてくれますか？」

「あたりまえじゃん。全部叶えよう。」

「ありがとう。」

「俺の方こそ、ありがとう。」

ひーくんの腕の中で眠る。これも、あと何回できるのかな？

不安と悲しみだけが胸に残った。