彼たちがデビューするまで。【きいろくん】 (ページ17)

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盛り上がってる部屋の中。

「デビューしたら彼女とはどうすんの？」

深澤さんの声が響いた。

みんないっきに黙って、気まずそうにする

やっぱり誰もが思っている。

そうだよね、デビューそうそう熱愛はきつい。

「デビューしたら彼と別れる予定なんです。」

そう言うとみんな寂しそうな顔をした。

「2人でしっかり話し合って決めたの。ね、ひーくん。」

沈黙が耐えきれなくなって彼に話を振る。

彼は、今まで見たことがないくらい苦しい顔をしていた。

「そっか～、じゃぁ今の時間を大切にせんといかんなぁ」

「そうだね～」

無理やり場を明るくしてくれた向井くんと佐久間くんには感謝だ。

「そうなんです、だからやりたいことやろって。この前お化け屋敷行ったんですよ」

嘘やん！って大げさに驚くみんなに救われた。

「今日はなんかごめんね、いろいろ。」

彼の運転する車。

居心地のいい助手席。

「いいよ、謝ることじゃない。それにみんなに紹介できてよかったしな。」

「ありがとう。」

彼は、これからまた別の仕事だ。

家とは少し離れた隠れた場所で降ろしてもらう。

「送ってくれてありがとう。お仕事がんばってね。」

「おう、しっかり戸締りしてから寝ろよ。」

「うん、気を付けてね。いってらっしゃい。」

「いってきます」

ふれるだけの軽いキスをする。

あの時の彼の苦しそうな顔が頭から離れなった。