彼たちがデビューするまで。【きいろくん】 (ページ13)

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私は今東京ドームに来ている。

１２月３１日。カウントダウンコンサートだ。

ずっと見たかった彼のステージに立つ姿。

たまたま行けなくなってしまった親戚に運よくチケットを譲ってもらえたのだ。

「東京ドーム大きいなぁて･･･」

たくさんの人でどこに行ったらいいかわからない。
初めてだらけだ。

ずっときょろきょろしている私は明らかに挙動不審だ。

困っていると近くにいた女の人に声をかけられた。

「お姉さん迷子？大丈夫？」

「あの、ここのゲートに行きたくて。」

そう言って見せると
一緒のゲートだよって彼女達が連れて行ってくれた。

「お姉さんは誰担？」

「誰担･･･。えっと、ひーくん担です」

彼の事を担と呼ぶ。なんだか、本当にファンになったみたいだ。

「ええ、私と一緒じゃん！かっこいいよね照くん！」

「うん、すごくかっこいい！」

同担さんというのだろうか。

嬉しそうにひーくんの事を話す彼女たちはすごく幸せそうで、彼の大きさを感じた。

「これで、ここの階段下に行ったらいいよ。お姉さんいい席でよかったね！」

「親切にしてくれてありがとう。ライブ楽しんでね！」

「お姉さんもね！」

迷いながらもついた席は、囲われている場所に前にパイプ椅子が並んでいたけど、一列目。

驚くほどいい席だった。

会場を見渡す。

ここにいる人たちはみんな幸せそうな顔をしていてすごいと思った。