爆豪くんにベタ惚れされた2【ヒロアカ】 (ページ42)

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89　夏祭りページ42

キラキラと輝く屋台。たくさんの人。高校生になっても、このような雰囲気にはソワッとしてしまう。

さっきから爆豪くんがとても見てくる。もしかして浴衣が変だったのかな。でも皆も着てくるんだし…

『あ、あんまり見ないで。恥ずかしいから…』

両手で顔の近くを隠す。

「可愛いぞ…」

面と向かって言われることに慣れていない私は多分変な顔をしてしまった。声が出なくて固まっていると聞き覚えのある声。

「お。風化たちも来た。」

良かった。皆いる。二人で来たせいか、早速芦戸さんに詰め寄られた。いつものように言い訳をすると芦戸さんは囁いた。

「ねぇ知ってる？花火の中で一回だけハート型の花火が上がるんだよ！その時一緒に触れ合っていた男女は将来幸せになるんだって！」

『そ、そうなんだ…』

もしかして爆豪くんはこれを聞いたから行く気になったとか？…私はなんて自意識過剰になったんだ。そんな考えを振り払い、大人しく屋台の方へ目を向ける。

「やっぱ人多いな。バラけようぜ。」

花火を最後、皆で見ることを約束していると近くに小さな子どもと、そのお兄ちゃんらしき人がいた。

「迷子になるから、しっかり兄ちゃんのココ掴んでろ。」

「はーい！」

ギュッと服の裾を掴む妹ちゃん。二人はそのまま行ってしまった。

人がどんどん増えて来た。人に流されてしまう。小柄な私は皆とはぐれてしまった。最後にあの場所に集まれば良いから、問題はないけれど。

「何食いてェんだ。」

爆豪くん。よくついてこれたね…相当人が多かったはずなのに。後ろを振り返ると爆豪くんの目付きに驚いた人たちが避けていたのがすぐ分かった。

『りんご飴。食べたいな。』

お目当てのものを食べることが出来た私は気分が良かった。食べている最中も、爆豪くんは優しい目で私を見ていた。

「あれ欲しいのか？」

私が一瞬だけ見ただけの射的の景品。爆豪くんは見逃さなかったようだ。

『でも難しいし…』

「見てろ」

なんと一回でその景品のぬいぐるみを取ってしまった爆豪くん。何でも出来る人だ…

『ありがとう。嬉しい…爆豪くんと一緒で良かった…』

「っ…」

あと30分で花火の時間。トイレに行っておこうかな。

『トイレ行ってくるから少し待ってて？浴衣だから時間もかかっちゃう。』

爆豪くんと離れてトイレを済ませると、知っている顔を見た。

その人物は…私に気づいてしまった。

「風化…」

『神葉くん…』