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木曜日、時刻は15時、

"あと10分ぐらいで着くから"

ついさっきかかってきた彼からの電話を合図に、立ち鏡の前で少し寝癖のついた髪を束ねる。



壁掛け時計に目をやったついでに視界に飛び込んで来たのは、

ハンガーラックに飾られた青色のドレスと、
クローゼットにしまえずにいる淡いピンク色のドレス、



ーーーletzt…



<…あれ、遠回しな言い方みつかんなかったら、ストレートでもいいよ、>



ーーー



ストレートというのは、"貴方がいない方が練習がはがどります"ということだろうか、

だとしたら、そんなの、



"ブーッ"



右ポケットで震えたiPhoneを手に取り、"下降りて来て"の文字を確認する。



ピアノの横に置かれた鞄を手に取り、ヒールのない靴を履いている最中に思う、

まず謝らなくては、

あの夜、溢れ出てきた涙で、彼を困らせてしまったに違いないから、








アパートの階段を降り、入口に停まっている車を見ると、いつものようにハンドルにもたれ掛かっている彼が見えた。

ドアを開けると、チラッとこっちを見る、



篤「鍵閉めた?」

「はい。」



車に乗り込む私を"ふっ"と笑う彼、

目線を向けると、"どうだった?次の日"と面白そうに自分の瞼をなぞった。



「そんなに酷く腫れませんでした。」

篤「でしょ?」



"俺がこすんの止めてあげたからじゃん"と勝ち誇ったように笑う。



彼の前であんなに泣いたことも、まるで冗談のように笑い飛ばしてくれるから、少し気が楽で、



包丁で切った人差し指の傷を、絆創膏で優しく包んでくれたように、

彼はまた、傷痕が深く残らないように、優しく私の腕を掴んでくれた。



「あの、」

篤「ん?」



いま彼に言うべき言葉は、謝罪の言葉ではなく、感謝の言葉なのだろう、



「……すみませんでした、」

篤「なにが?」



彼の優しさに対して、それでもまだ謝ることしか出来ない私は最低だ、

分かっているのに、



困らせてしまったこと、
なにも言えなかったこと、

そして、
なにも失いたくないズルい自分、



ただ、謝ることしか出来なくて、



篤「お互い様でしょ、」

「…?」

篤「俺もたいして変わんないよ、」



返ってきたのは意外な言葉で、

少し俯いていた目線を彼に向けると、いつもと変わらない表情で淡々とその先の言葉を続ける、

9→←7



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しおり(プロフ) - はじまして。後半号泣でした。切なくて切なくて、涙が止まんなかったです笑これからも楽しんで読ませて頂きます! (2015年7月18日 0時) (レス) id: e7ee2124ab (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» ありがとうございます!何度もリピートして頂けて嬉しい限りです/ _ ;気持ちを確かめ合った翌日ですらこんな感じの二人ですからね…ゆっくりと距離を縮めていくのではと思っています(^^)ななさんのお言葉にいつも励まされていました!これからもよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ママさん» ありがとうございます!早速続編作成させて頂きました(*^^*)これまでとは違った二人も、段々見せていければと思っています。これからもよろしくお願いします(^^) (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 葛葉さん» こんばんは!急に甘々はこの二人では想像出来ませんでした(^^)ほんわかして頂けて良かったです(*^^*)続編作成致しましたので、そちらでもまたよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - なつみさん» こんばんは!続編、作成致しました(*^^*)タイトルは作中でも何度も出てきたマラ5です(^^)ありがちですね…笑"続編もよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2013年7月25日 19時

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