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篤「…ふっ、目、笑」

「え?」





私の顔を見て面白そうに笑う彼。

ひとしきり笑い声をあげると、パッと起き上がった彼は、そのままキッチンへと消えていく。





「?」





不思議に思いながら彼の温もりが残るソファに腰掛け、重い瞼をこする。

少ししてカチャカチャと音をさせて戻ってきた彼は、突然私の目元になにかを押し当てた。





「…冷たっ!」





驚いて身体を離そうにも、しっかりと後頭部を抑えられ抵抗出来ない。

あまりの冷たさに無理矢理彼の手を剥がすと、握られたタオルの中で、カチャカチャと氷が音をたてている。





篤「ちゃんと俺見えてる?笑」





そう言ってからかうように笑った彼は、私の手を払い、再びそれを目元に押し当てる。





「…そんなに腫れてますか?」

篤「うん。ちょっと笑っちゃうくらい。笑」





目元に感じる冷たさと、後頭部に感じる温もりが心地良くなって、

私はもう抵抗するのをやめていた。





「あの…ずっとここで寝てたんですか?」

篤「ん?まぁ、」

「すみません、気づかなくて。
身体疲れてないですか?」

篤「へーき。」





"慣れてるからね、このソファ"と小さく笑った彼は、私を冷たさから解放すると、

ツーっと人差し指の背で瞼をなぞる。





「私、いつ寝ました?」

篤「覚えてないの?」

「…はい、」





申し訳なさから小さく返事を返すと、"ははっ"と呆れたように笑う彼、





篤「散々泣いてたと思ったら、急にウトウトしだして、」

「………」

篤「"泣くか寝るかどっちかにすれば"って俺が言ったら、"じゃあ寝ます"ってちゃっかり風呂入って寝てたけど。笑」

「……本当にすみませんでした、」





抜けていた寝る数時間前の記憶が今になって蘇ってくる。

ここ最近あまり眠れていなかったから、きっと気が抜けて寝てしまったんだ。



頭を下げる私に、面白そうに笑う彼、

くしゃっと崩れたその表情に、気づけば私も一緒になって笑っていた。





「あ、朝ご飯食べますよね?」

篤「うん。…あ、てかいま何時?」

「もうすぐ9時ですね。」

篤「やべっ!」





"今日10時からだし"と慌ててソファから立ち上がった彼は、"シャワー借りるわ"と勢いよくバスルームへと向かう。



私もその後に続き、バスタオルと買い置きしてあった歯ブラシをバスルームに置いて、キッチンへ向かった。

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しおり(プロフ) - はじまして。後半号泣でした。切なくて切なくて、涙が止まんなかったです笑これからも楽しんで読ませて頂きます! (2015年7月18日 0時) (レス) id: e7ee2124ab (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» ありがとうございます!何度もリピートして頂けて嬉しい限りです/ _ ;気持ちを確かめ合った翌日ですらこんな感じの二人ですからね…ゆっくりと距離を縮めていくのではと思っています(^^)ななさんのお言葉にいつも励まされていました!これからもよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ママさん» ありがとうございます!早速続編作成させて頂きました(*^^*)これまでとは違った二人も、段々見せていければと思っています。これからもよろしくお願いします(^^) (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 葛葉さん» こんばんは!急に甘々はこの二人では想像出来ませんでした(^^)ほんわかして頂けて良かったです(*^^*)続編作成致しましたので、そちらでもまたよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - なつみさん» こんばんは!続編、作成致しました(*^^*)タイトルは作中でも何度も出てきたマラ5です(^^)ありがちですね…笑"続編もよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2013年7月25日 19時

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