4 ページ4
篤「篠崎さん、」
デリバリーのピザを食べ終え後片付けをしていると、トランプを手に持った彼がソファをポンポンと叩く。
篤「仕方ないから大富豪教えてあげる、」
「ふっ、ありがとうございます。笑」
いつものようにソファの上に向き合って座ると、"もちろん説明は一回しかしない"と悪戯に笑った彼は、早口で淡々と話し出した。
篤「あ、今のなし、」
正直言って、支離滅裂で全然分からない。
"あ、ここはちげーや"とか、"今のなし"の言葉がたくさん入ってきて、
私の苦々しい表情を見て、段々と彼が不機嫌になっていくのが分かる。
「…あの、」
篤「あー!もういいや、面倒い、」
「え?」
篤「UNOね。」
そう言って雑にトランプをしまい、UNOを広げる彼。
その姿につい笑いが漏れると、"なに?"と口をへの字に曲げ、"早くカード出して"と不機嫌なままゲームを始めた。
もう二人でやるのも三度目だが、飽きることもなく何度も繰り返していると、
お互いのおデコは、また薄っすらと赤く染まっていく、
ーーーletzt…
<そろそろ帰るかな。>
<…ふっ、最近フェアじゃないよね、>
<そんな顔されると、俺帰りづらいんだけど、>
<安心して、俺これ見たら帰るから、>
ーーー
"そろそろ帰るかな"
彼はいつその台詞を言うだろう、
出来れば、後もう少し、
篤「そろそろ帰るかな。」
「………」
ーーーletzt…
<…あれ、DVDとかないの?>
<いーよ。また肩貸してくれれば、>
ーーー
「……あの、」
"お父さん喜んじゃって、一昨日からあの調子"
"ずっとドイツにいるつもりか?"
"Aちゃんがついててくれれば安心なんだけど"
"私は嫌だな、Aが違う人となんて"
「……気をつけて帰って下さい、」
ーDVD見ますか?ー
出しかけた言葉は、少しの沈黙に消えた、
勢いだけで進めるほど子供ではなくて、
好きな気持ちだけを優先出来るほど純粋ではなくて、
いっそのこと突き進んでしまおうとすれば、
大切な人たちの哀しみに歪む顔が、私を止める、
286人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しおり(プロフ) - はじまして。後半号泣でした。切なくて切なくて、涙が止まんなかったです笑これからも楽しんで読ませて頂きます! (2015年7月18日 0時) (レス) id: e7ee2124ab (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» ありがとうございます!何度もリピートして頂けて嬉しい限りです/ _ ;気持ちを確かめ合った翌日ですらこんな感じの二人ですからね…ゆっくりと距離を縮めていくのではと思っています(^^)ななさんのお言葉にいつも励まされていました!これからもよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ママさん» ありがとうございます!早速続編作成させて頂きました(*^^*)これまでとは違った二人も、段々見せていければと思っています。これからもよろしくお願いします(^^) (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 葛葉さん» こんばんは!急に甘々はこの二人では想像出来ませんでした(^^)ほんわかして頂けて良かったです(*^^*)続編作成致しましたので、そちらでもまたよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - なつみさん» こんばんは!続編、作成致しました(*^^*)タイトルは作中でも何度も出てきたマラ5です(^^)ありがちですね…笑"続編もよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:laiz | 作成日時:2013年7月25日 19時