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"いまケルンに着いたよ"



三日前の金曜日、震えたiPhoneから聴こえてきたのは幼馴染の声。



"A、チケット持ってないよね?"

"席取っておいたから、会場着く頃連絡して"



チャイコフスキー国際コンクールの入賞者たちが出演するコンサート、

その公演が今日、ケルンで行われる。



"一つお願いしてもいい?"

"あのドレス着て来て"



立ち鏡に映るのは、クローゼットにしまえずにいた、淡いピンク色のドレスを身に纏った自分。

軽く髪の毛を梳かし、唇にグロスをのせ、



ふと目に入ったのは、
鏡ごしに見える青色のドレス。



パッとすぐに壁掛け時計に目線を移したのは、
確かに感じる心の傷みに耐えることが出来なかったから、









時刻は17時30分、

講師の仕事を早めに切り上げ、支度を終えて駅へと向かう。

デュッセルドルフからケルンまでの30分程度、いつもは必ず私の暇潰しに役立ってくれるiPod touchは、鞄の中で眠ったまま、



120時間以上聴いていたそれを、
暫くの間は聴けそうにない、









<会場の入口まで来たよ。>

<そこで待ってて。いま岩田さんに向かってもらってる。>



次々と観客が会場内へ入っていく中、入口の端のほうで立ち止まりメールをうつ。



幼馴染の返信にあった人物を待っていると、暫くして後ろから聴こえてきたのは懐かしい女性の声だった。



岩「Aちゃん、久しぶり。」

「お久しぶりです。」



彼女の名前は岩田夏希。

歳は私たちより一回り上で、有名ピアニストを多く抱える音楽事務所に勤めている。



音大時代、"未来のピアニスト"として少しずつ舞台や雑誌の依頼が増え始めた彼を、その頃からずっと担当しているマネージャーだ。



岩「少し見ない間にまた綺麗になったわね。」

「いえ、とんでもないです。」



かつてウィーンにいた頃は良く顔を合わせていた。

彼と住むアパートに、打ち合わせや送り迎えに頻繁に来ていたから。



岩「楽屋に連れて来てって頼まれてるのよ、」

「私が行っても大丈夫なんですか?」

岩「もちろん。身内みたいなものじゃない。」



"こっち"と誘導されたのは関係者入口。

バタバタと忙しなく裏方スタッフたちが行き交う廊下を進んで行くと、

辿り着いたのは、入口に彼の名前が貼られた小さな部屋。



扉をノックする音の次に聴こえてきたのは、少し上ずった幼馴染の声だった。

20→←18.Atsuto side



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しおり(プロフ) - はじまして。後半号泣でした。切なくて切なくて、涙が止まんなかったです笑これからも楽しんで読ませて頂きます! (2015年7月18日 0時) (レス) id: e7ee2124ab (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» ありがとうございます!何度もリピートして頂けて嬉しい限りです/ _ ;気持ちを確かめ合った翌日ですらこんな感じの二人ですからね…ゆっくりと距離を縮めていくのではと思っています(^^)ななさんのお言葉にいつも励まされていました!これからもよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ママさん» ありがとうございます!早速続編作成させて頂きました(*^^*)これまでとは違った二人も、段々見せていければと思っています。これからもよろしくお願いします(^^) (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 葛葉さん» こんばんは!急に甘々はこの二人では想像出来ませんでした(^^)ほんわかして頂けて良かったです(*^^*)続編作成致しましたので、そちらでもまたよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - なつみさん» こんばんは!続編、作成致しました(*^^*)タイトルは作中でも何度も出てきたマラ5です(^^)ありがちですね…笑"続編もよろしくお願いします! (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2013年7月25日 19時

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