爆裂と第一の試練 ページ32
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「まず、二人に聞いておきたいことがある。……俺の試練に着いてくるか、否かだ」
俺は里の中に入る前に二人に問うた。至極、真剣な顔で。そんな俺の雰囲気に二人に緊張が走り、冷や汗が額に浮かんでいる。
「ただの観光客として里に入るか、俺の試練の同行者として里に入るか。この選択はとても重要だ。正直、試練の同行者となれば二人は確実にダメージを負うだろう。だから、俺はお前たちには観光客として……」
「同行者として行きますよ、勿論」
「同行者ってことはAの助けになれるってことだよね! なら、同行者一択だよ!」
真っ直ぐこちらを見つめるその目に、迷いはなかった。俺は嬉しさに涙ぐみながら「ありがとう…」と礼を言って里の門をくぐった。
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唐突だが「死なばもろとも」の意味を知っているだろうか。意味は、死ぬ時は一緒だ。そう、一緒だ。この痛みも、苦しみも、俺の試練の同行者ならば!!
紅魔族の試練、その第一の試練。俺はマントを靡かせ、腰をツイストさせながら大声で叫ぶ。
「我が名はA! 紅魔族の落ちこぼれと呼ばれし者だが、その汚名返上を果たすべく参上した……我の真なる称号は革命者だ!!」
「我が名は灰原! Aの応援をしにきた友達……じゃなくて、盟友! 好きなタイプはご飯をたくさん食べる子です!!」
「……わ、我が名は七海…」
「声が小さいぞ! やり直し!!」
「わ、我が名は七海!! Aの同行者兼クラスメイトであり、協力者でもある者!!
……なんっなんですかこれ!!」
名乗りのポーズを崩さぬまま、七海は涙目になりながら叫ぶ。俺はそんな七海をスルーしながら心の中でご愁傷様ですと手を合わせた。
言ったはずだ。ダメージを負うと。そう、それは精神のダメージ……。第一の試練は、紅魔族の審査員が納得するまで名乗りとポーズをしなければならないという過酷なもの。
戦闘に一番大事なのは格好よさ、そうほざく紅魔族には相応しい試練だろう。……ははっ、七海。無心でやるのだ、何も感じなくなって楽になるぞ。ははは。
意外にもノリノリな灰原と、段々と表情筋が死んでいく七海と共に、俺はまたしても名乗りを上げるべく大きく口を開いた。
「我が名はA__!!!」
結局、第一の試練は二時間も続いた。七海が死にそうだった。
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モナカの中の粒あんの中のあずき - この作品面白かってここまで夏休みの宿題もほっぽりだして一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます!! (8月18日 20時) (レス) @page37 id: 5a8fdc6461 (このIDを非表示/違反報告)
ぷっちん(プロフ) - 更新頑張って下さい!応援してます! (2023年5月3日 15時) (レス) id: bdddc4d914 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - まじさいっこー!このすば大好きだからめっちゃ嬉しいです!楽しみにしてます! (2022年6月21日 15時) (レス) @page24 id: ed520dee7f (このIDを非表示/違反報告)
ナチテト@ワイ日本語おかしすぎワロタ - 呪具の名前、 「紅麗主刀」(べにれいかずとう) と、「赤爆勝刀」(あかばくしょうとう)とか、ホントにセンスないのですが、どうですか………? (2022年5月17日 17時) (レス) @page21 id: b29450610e (このIDを非表示/違反報告)
しふぉん(プロフ) - 更新嬉しい…これからも無理なく頑張って下さい! (2022年5月13日 15時) (レス) @page23 id: 9274152077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シロツメココロ | 作成日時:2022年2月11日 22時