爆裂と最適解 ページ29
・
「七海っ！！」
咄嗟に猩々緋鴉を七海に向かって投げる。短刀の刃の部分が七海の学ランに刺さり、勢いのまま後ろに七海の体が下がった瞬間、電車が通り過ぎる。
「七海！！ 大丈夫？！」
隣のホームへとギリギリ逃れられた七海の元に灰原が向かう。俺も隣のホームへと移動し、倒れた七海を起こし、猩々緋鴉を回収する。
いつの間にかアナウンスは止んでいた。だが、いつまた鳴り始めるか分からないので、すぐにこの場を離れたい。
「……私は無事です。ホームまで飛んでった後の受け身をとれずに、少し背中が痛むくらいですね」
「そうか……良かった。手荒な真似をしたから謝りたいが、それは後にしよう。今すぐに駅から出るぞ」
そう言い、俺達は走り出す。そういえば、書類に書かれていた死体はほぼ轢死だったのを思い出した。不自然に忘れていた。
もうすぐ駅から出られるといった所で、またもアナウンスがながれる。重なりすぎて、相変わらずの不協和音に並行感覚が狂って吐きそうになる。
それでも、それでも俺達は足を止めずに走っていた。＿＿そう、過去形だ。何故なら、俺達の足に彼岸花がまとわりついて動きを止めたから。
「くそっ、こんなもの……！！」
猩々緋鴉で彼岸花を斬ろうと振り翳した瞬間。ぐんっと体が後ろに引かれて空中に放り出される。
二人の声が聞こえる。電車が真横にいる。妹に貰ったとんがり帽子が落ちていく。目に映る全てがスローモーションに感じた。
＿＿だが、俺の脳はいつもの倍のスピードで回り始める。
二人の位置では俺を助けるには届かない。かと言って自力で避けるのは無理。あと数秒でできることを思考しろ！ 知力と術式だけが紅魔族の取り柄のだろ！！
＿＿最速で、最適解を。
俺は電車がすぐ横に迫る中、七海の鉈を指差し、次に駅の壁へと向ける仕草をする。
次に猩々緋鴉を電車に向け、何千回と訓練してきた体が無意識に先端へと呪力を練って集めくれているので、口を開く。
詠唱無しだが、この距離での爆裂呪術は仲間は勿論、自分すらも巻き込む距離だ。
だが、それがどうした？ これが最適解だ。仲間を守るためだ。ほどほど全力にぶっ放せっ！！
瞬間。俺の視界は白で包まれた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 454人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モナカの中の粒あんの中のあずき - この作品面白かってここまで夏休みの宿題もほっぽりだして一気読みしちゃいました！更新楽しみにしてます！！ (8月18日 20時) (
レス) @page37 id: 5a8fdc6461 (このIDを非表示/違反報告)
ぷっちん(プロフ) - 更新頑張って下さい！応援してます！ (2023年5月3日 15時) (レス) id: bdddc4d914 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - まじさいっこー！このすば大好きだからめっちゃ嬉しいです！楽しみにしてます！ (2022年6月21日 15時) (レス) @page24 id: ed520dee7f (このIDを非表示/違反報告)
ナチテト@ワイ日本語おかしすぎワロタ - 呪具の名前、 「紅麗主刀」(べにれいかずとう) と、「赤爆勝刀」(あかばくしょうとう)とか、ホントにセンスないのですが、どうですか………？ (2022年5月17日 17時) (レス) @page21 id: b29450610e (このIDを非表示/違反報告)
しふぉん(プロフ) - 更新嬉しい…これからも無理なく頑張って下さい! (2022年5月13日 15時) (レス) @page23 id: 9274152077 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シロツメココロ | 作成日時：2022年2月11日 22時
