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目の前でその足は止まり、ゆっくりとしゃがみ込む
泣いていたことがバレないように下を向いたまま言う
貴｢ここはいいから、帰りなさい｣
爆｢ヒーローとして泣いてる女を無視するわけにはいかねぇ｣
顔上げろや、と骨ばった大きな手が私の顎をグイッと持ち上げ、深紅の瞳と視線が絡む
その真剣な眼差しに心が揺れてしまったのが嫌でもわかる
このままじゃ逃げられなくなると本能が感じた
彼の腕を掴んで距離をとる
貴｢上司に向かって命令しない、何度も言ったでしょ
これ拾ったら帰って｣
冷静なふりをして伝えれば、黙って拾い始めたので
少し安心する
彼にだけは泣いている理由を知られる訳にはいかない
ある飲み会の帰り、帰路が同じだったダイナマイトこと爆豪勝己に、酔いがまわった私は上司権限で飲み直しに誘い
あろうことか彼の愚痴を吐いてしまった
翌日、自責の念に駆られたけれど
彼は｢話したきゃ聞きますけど｣と大人の対応をして
それからは私独壇場の愚痴飲み会に何度か行った
早く別れろ、と何度も言われたが
｢でも好きなの、これが大人の付き合い方だから｣
なんて強がってしまったものだから、あの人のことで泣いてるなんて言えるわけがない
それにこの子は……
貴｢ありがとう、もう帰ってい＿＿＿＿＿＿｣
最後の一枚を拾おうとした私の手に、大きな彼の手が覆う
爆｢どうせあの男だろ｣
貴｢貴方には関係ない……っ｣
言葉を遮るように腕を捕まれ、私の上へと覆い被さる
背中は窓ガラスにあたり、これ以上逃げ場はない
爆｢今更何言ってやがる
泣くくれぇなら、はなから俺にしとけや｣
真剣な顔をしてそんな言葉を言われたら
簡単に揺らいでしまう
貴｢……私を好きでいるのはやめなさいと言ったでしょ｣
爆｢俺だったらぜってぇAを泣かせねぇ｣
彼は、私に好意を寄せている
今の弱りきった私に
優しくされたら、手を差し伸べられたら
その好意に甘えてしまう、漬け込んでしまう。
そんな風に彼を利用するなんて
上司としても大人としてもダメだ
爆｢…俺を利用すりゃいいだろ｣
まるで心の声が聞こえていたかのようで
動揺して目を逸らす
貴｢ちょっ……なに、して…｣
それを逃がさないかのように無理やり正面を向かせ視線を絡めさせる
キスを迫る彼の口元を手で押えて必死に避けようとするも
その抵抗も虚しく、例え自分がヒーローでも男の人には勝てない
爆｢黙って俺に堕ちろや｣
赤くぎらつくその目に息を呑んだ
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桜羽(プロフ) - 桜木なおさん» コメント誠にありがとうございます。2.3.4とありますのでよろしければ是非、そちらもお読みいただけると幸いです。 (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
桜木なお - 面白いです！！！ (2022年7月22日 21時) (レス) @page34 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜羽 | 作成日時：2022年4月17日 16時
