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歳を取ったら一人になっちゃいけないな、と実感した
忙しい毎日に気づかなかっただけで、彼のいない私はこんなにも弱くて脆いのかと自分でも驚く
写真に映る勝己は私と一緒に外を出歩くときの格好と同じで、着ているТシャツは｢これがいい｣と私が選んだもので
落ち続ける涙を堪えようと画面から視線をあげれば
勝己にプレゼントされた鞄やお揃いのマグカップが目に入る
オフの日はソファの隣で完全に私の趣味の映画を2人で見て
それが終わるなり、その日は決まってそこで愛をたくさん降り注がれた
お互い遠慮しないから喧嘩だってたくさんしたのに
こんな時ばかり忘れていたはずの記憶が美化して蘇る
一瞬でなくなったはずの勝己との思い出も時間も
こんなにたくさんごろごろと転がっていて
私の生活に彼がいないなんてことはなかったのだと気付かされる
でもそんなことは今更で
別れてから連絡も取ってすらない
いつだって気づくのが遅い自分に余計に涙が溢れ出す
そこにピロンと連絡の入る音がする
画面を見てみれば切島からで
｢明日暇か？久々に戻ってきてんだけど夜飲まねぇ？
爆豪はこれねぇみたいだけど｣
大阪を拠点にヒーロー活動をしている切島
高校のとき、勝己と私が一緒にいたこともあって
切島、瀬呂、上鳴とはよくつるんでいた
爆豪はこれねぇ、その言葉にほっとしたような悲しいような気持ちを抱いたまま、すぐに返信を返した
｢いく｣
明日も一日一人でいたら、もう心が壊れてしまうと思った
切｢よー！久しぶりだな！｣
貴｢久しぶり｣
切｢って、どうした！？その顔｣
貴｢会っていきなりそれ？失礼だなー｣
なんて、へらっと笑って私以外、既に飲み始めているみんなに軽く挨拶をして席に着く
昨日の今日で、泣いた顔は引かなかった
みんなが聞きづらそうにするから自分から話す
貴｢そういうわけだからさ、別に大したことじゃないの
ただ昨日は久々に一人酒したら酔っちゃって、変に思い出しただけ、ほら、切島との再会に飲も！｣
なみなみ注がれたビールを煽る
みんな私のことを察して深くは聞いてこなかった
昔だったら瀬呂あたりが黙ってなかったのに
みんな大人になったんだなぁ、と笑みがこぼれた
切｢おい、A大丈夫か｣
貴｢うー｣
高校生ぶりにみんなとはしゃいだせいか
いろいろ忘れたくて飲みすぎたせいか
だいぶ酔ってしまったらしい
正直その日の夜のことはぜんぜん覚えていなくて
目が覚めたら知らない部屋のベッドの上だった
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桜羽(プロフ) - 桜木なおさん» コメント誠にありがとうございます。2.3.4とありますのでよろしければ是非、そちらもお読みいただけると幸いです。 (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
桜木なお - 面白いです！！！ (2022年7月22日 21時) (レス) @page34 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜羽 | 作成日時：2022年4月17日 16時
